菓子メーカー大手のロッテが1977年に発売し、一時は年間4億個も売り上げたロングセラー商品「ビックリマンチョコ」がここに来て販売数を伸ばしている。
要因となっているのが2013年から始めたコラボ商品だ。これは「キン肉マン」「北斗の拳」「キングダム」といったアニメ・漫画や、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」「AKB48」などとコラボレーションしたもので、これまで中高年男性が中心だったビックリマンファンに加えて、10〜20代の新たな顧客層を獲得した。現在までにコラボ商品は累計で7500万個以上を販売した。
最大のヒットは16年10月に発売し、900万個以上も売り上げたアニメ「ONE PIECE(ワンピース)」とのコラボ商品「ワンピースマンチョコ」だが、それに迫る勢いで売れたのが、18年10月に発売した「ドラゴンボールマンチョコ」だ。「Z」編と「超」編の2パターンを用意し、期間を区切って販売エリア(東日本と西日本)を入れ替えた。発売1カ月で550万個以上を出荷し、累計販売数で約700万個を記録した。
ドラゴンボールは、言うまでもなく国民的な人気アニメで、日本だけでなく世界中に数多くのファンがいる。劇場最新作「ドラゴンボール超 ブロリー」は18年12月14日に日本で公開されてから53日間で動員数300万9730人、興行収入38億9556万9200円を突破。米国やメキシコ、ブラジルなどでも公開されており、映画の興行成績を分析する米Box Office Mojoによると、2月上旬時点で世界の累計興行収入が1億ドル(約110億円)を超えた。
ビックリマンのマーケティング担当者は今までさまざまなコラボを手掛けてきたが、ドラゴンボールは数年前からどうしてもやりたかった企画だったという。17年10月ごろから具体的に動き出し、たび重なる交渉の末、念願叶った。
「ドラゴンボールだから売れた」という声もあったが、「今の消費者はそんなに甘くはない」と担当者は反論する。そのためにも消費者を飽きさせない工夫を施す。新しい取り組みが「シールのフュージョン」だ。フュージョンというのは、ドラゴンボールのキャラクターである孫悟空やベジータが合体する技で、それをシールを使って体現した。具体的には、指定のシールを並べて、スマートフォンからブラウザ上のARカメラサービス「atap」で撮影すると、シールに描かれたキャラクターがフュージョンする。現在までに同サービスを用意した特設サイトには約4万アクセスがあったという。
従来のコアなビックリマンファンはシールをコレクションすることが主目的になっているが、若者顧客のようなライト層は個人的な収集ではなく、シールを仲間内でシェアしたり、ネタにしたりすることで楽しんでいる傾向が強いようだ。「そのためにもシールがコミュニケーションの起点となるような仕掛けが、売れるにはますます必要になってくる」と担当者は強調した。
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