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» 2019年05月05日 05時00分 公開

どんな設計思想なのか:ホンダの本社ビルに秘められた“本田宗一郎伝説”の謎を追う (3/5)

[昆清徳,ITmedia]

地下に食料や水を備蓄している

 災害時の備えについても、本田宗一郎氏の意向が反映されている。

 東京都は、災害に備えるために社員用の水や食料を確保するよう条例で定めている。ホンダの本社ビルには海外営業を担当する部門や管理部門などで働く約1200人の社員がおり、3日分の水、食料、ヘルメット、ブランケット、簡易トイレなどを備蓄している。

 現在ではこういった備えをするのは当たり前になっているが、ホンダではビルが竣工した85年から水や食料の備蓄をしている。担当者によると、当時では先進的な取り組みだったのではないかという。

 本社ビルでは熱源としてガスを使用していない。火災の原因になるものを排除するためだ。では、どのようにして熱源を確保しているのか。本社ビルでは地域熱供給システムを導入している。これは、冷水や温水などを一カ所でまとめて製造・供給するものだ。外部から引き入れた蒸気の熱を利用して、社員食堂で調理をしたり、暖房に利用したりしているという。

photo ウエルカムプラザで提供される宗一郎の水

割れた窓ガラスの落下を防止するバルコニー

 本社ビルの窓の外にはバルコニーがある。2階部分は植え込みのプランターになっているが、3階より上のバルコニーは避難通路として利用するため、何も置いていない。窓から外壁までの幅は1600ミリあり、人が歩ける部分の幅は1200ミリだ。

 なぜ、わざわざバルコニーをつけているのか。これは、大地震が発生した際、窓ガラスが割れて落下するのを防ぐためだ。本田宗一郎氏が落下したガラスが歩行者を傷つけてはいけないと考え、当初作成された設計図の修正を命じたという“都市伝説”が存在する。記者はこの話を耳にしたことがあるので、担当者に聞いてみたところ「実際に設計図を修正させたかどうかまでは分かりませんが、バルコニーを設置するように働きかけたという話は社内で伝わっています」と説明した。

photo バルコニーが地震で割れた窓ガラスの落下を食い止める

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