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» 2019年05月13日 10時00分 公開

「デジタル化の力」で顧客接点を豊かに:大分銀行が掲げる“地域総合プラットフォーム構想”とは

デジタル化により顧客との新たな関係を築こうとしている大分銀行。2018年にはクラウドベースの顧客関係管理で世界市場を牽引しているSalesforceを戦略的IT基盤として採用した。数ある選択肢の中からSalesforceを選んだ決め手は何だったのか。そして大分銀行が目指すビジョンとは。

[PR/ITmedia]
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 少子高齢化やマイナス金利の長期化などに伴い、日本の多くの地域金融機関が将来の収益確保に課題を抱えている。そうした中、デジタル化により顧客との新たな関係を築こうとしているのが、株式会社大分銀行だ。2018年にデジタル化のグランドデザインを描いた大分銀行は、クラウドベースの顧客関係管理(CRM)で世界市場を牽引しているSalesforceを戦略的IT基盤として採用した。

 数ある選択肢の中からSalesforceを選んだ決め手は何だったのか。そして大分銀行が目指すビジョンとは。大分銀行総合企画部副部長兼デジタルイノベーション推進室の植木裕二氏と、株式会社セールスフォース・ドットコムでエンタープライズ金融営業本部長を務める田村英則氏に話を聞いた。

photo 左からセールスフォース・ドットコムの田村英則氏、大分銀行の植木裕二氏

リアル店舗の来店数が10年間で3割減少

――大分銀行がデジタル化を推進する背景についてお聞かせください。

植木: 私は現在、大分銀行の経営企画を担う総合企画部の副部長と、デジタルイノベーション推進室の室長を兼任しています。それまでは20年以上にわたってIT関連の企画や導入を担当する部署にいたのですが、18年に人事異動を受け、経営企画とデジタル化の両面を担当することになりました。

 そこで私がまず取り組んだのが、デジタル化を推進するための5カ年計画の策定です。従来から大分銀行では半期ごとにIT関連の計画を立てていたのですが、短期的な計画だけでは現代のデジタル化の波を捉えることができません。経営計画の中核としてデジタル化を据える必要があると考え、新たにグランドデザインを取りまとめました。

photo 大分銀行 総合企画部副部長兼デジタルイノベーション推進室の植木裕二氏

――なるほど。5カ年計画の概要は、どのようなものなのでしょうか。

植木: 銀行業務を10のカテゴリーに分けて目標を設定しました。例えば「インターネット戦略」のカテゴリーであれば、セールスフォース・ドットコムの力もお借りしながらデジタルによりOne to Oneのマーケティングを導入しようとしています。

 大分銀行ではこの10年間でお客さまの来店数が3割程度減少しており、逆にインターネットやスマートフォンのアプリを利用されるお客さまが増えてきました。おそらく今年中に店舗利用者とデジタル利用者の数が逆転するでしょう。そうすると、デジタルにおいても、より個々のお客さまに合ったサービスを提供していかなくてはなりません。

田村: よく分かります。私はセールスフォース・ドットコムで主に金融機関のお客さまを担当しているのですが、近年はお客さまにインターネット経由で提供できるデジタルサービスの体験が、ますますビジネスを大きく左右するようになっていると感じます。

 私自身のことを考えても、以前はATMを探してキャッシュカードを使っていましたが、今は当然のようにスマートフォンでお金を動かしています。このような、より便利で使い勝手の良いサービスを提供する金融機関にお客さまが流れてしまう可能性が増していることは、想像に難くないですよね。

植木: そうですね。大分銀行は地方銀行ですから、リアル店舗の役割が完全に失われることはないと考えています。しかし、従来のやり方を続けていると、トップラインを上げることはできず、生き残るためには店舗を縮小する戦略を取るほかはありません。今後、銀行の成長を描いていくには、デジタルによる顧客接点の充実は不可欠です。

 大分銀行でも、以前からインターネットバンキングやアプリの仕組みは構築しているのですが、依然としてお客さまに一律のサービスを提供するにとどまっています。ここを、幅広い顧客ニーズに合うサービスへと変えていきたいと考えています。

「サービス拡充」と「業務効率化」は表裏一体

――金融のデジタル化が進む今、銀行にとっての競合はどのような企業になるのでしょうか。

植木: やはり、SNSやECなどのコアビジネスを導入口として、金融ビジネスに参入しているプラットフォーマーは脅威です。ユーザーとしては、普段使っているアプリの方が使い勝手はいいですからね。

田村: たしかに、最近では「ディスラプター」と呼ばれる他業種の企業の参入は続いていますね。だからこそ、ますますお客さまとの密なつながりが重要になっています。

植木: その通りです。銀行が本気でデジタル化を進めれば、金融ベンダーに負けるはずがありません。なぜなら我々には金融のプロフェッショナルとして積み重ねたノウハウや良質なデータがある。大分銀行には地域に密着してきた長い歴史があり、お客さまに関する信頼度の高いデータが蓄積されています。収入や世帯構成、生活状況――といった個々のデータを活用することができれば、よりお客さまに合ったサービスを提供することができるはずです。

 また、サービスのデジタル化が進めば、お客さまにとって便利になるのはもちろん、行員の業務効率化にもつながります。昨今の労働力不足問題は銀行も例外ではありませんので、お客さまへのサービス拡充と業務効率化は表裏一体のものとして進めていきます。

 一例を挙げると、銀行には「預り管理」という、お客さまから通帳などを預る業務があるのですが、この業務については既に改善に着手しました。従来、預り管理を行う際には、行員が手書きで証書を作成していたのですが、記入する項目が多く、記入ミスも起こりがちでした。

 そこで「Cloud BankNeo 預り管理」ソリューション(*)を採用し、お客さまから預った通帳などの預り物件の情報をクラウド上で管理する仕組みを構築しています。これにより業務に従事する行員約1300人は、それぞれが携行するタブレット端末を使い、預り物件の情報をリアルタイムで管理・共有することができるようになり、物件預り時や店内ワークフローのシステム化による業務効率化と、電子サイン運用(ペーパーレス化)、印紙代削減といったコスト削減が見込まれます。

*)「Cloud BankNeo 預り管理」は、セールスフォース・ドットコムの技術支援のもと、日本システム技術株式会社が開発・提供するアプリケーションです。本アプリケーションは、Salesforce Lightning Platform上で構築され、セールスフォース・ドットコムが運営する企業向けアプリケーション市場である「AppExchange」でも公開・販売開始されています。

――昨今は多くの金融機関がデジタル化に取り組んでいると思われますが、十分に進んでいないところも見受けられます。金融機関がデジタル化を進めるに当たっては、どういったハードルがあるのでしょうか。

植木: 私の考えでは、一つは「コストの問題」です。デジタル化によるソリューションの価値については、おそらくほとんどの人が理解しているでしょう。ただ、導入コストがネックとなりデジタル化に踏み切れないケースが少なくないのではないでしょうか。

 それでも私がデジタル化を推進しているのは、今からきちんとしたインフラを整備しておくことは、将来的な顧客離れを防ぐことにつながると確信しているからです。コストの問題は捉え方次第。後から回収するつもりでデジタル化を進めることには意味があると思います。

田村: 私は多くの金融機関の方とお話をさせていただいていますが、「変わらなければならない」という意識を持った方ばかりというわけではありません。やはり、物事の変革は推進力を持ったイノベーターがいて初めて可能になります。このようにイノベーションを起こし、業界の常識を打ち破り、新しい世界を築く方々を弊社では「Trailblazer(トレイルブレイザー)」と呼んでいます。大分銀行さまの場合、植木さまがまさにトレイルブレイザーでした。弊社の使命はこのようなトレイルブレイザーの方々と共にお客さまのデジタル変革とお客さまの成功を支援していくことにあります。

photo セールスフォース・ドットコムでエンタープライズ金融営業本部長を務める田村英則氏

「セキュリティ」「コスト効率」「カスタマイズ」を高レベルで実現するIT基盤

――大分銀行がセールスフォース・ドットコムのサービスを導入する決め手は何だったのでしょうか。

植木: デジタルサービスはスピードが命ですから、お客さまのニーズを満たすためにはオンプレミスのシステムでは対応しきれません。クラウドであればリアルタイムでアップデートできますから、まずはクラウドサービスを導入することを決めました。

 次に、数あるクラウドサービスの中で比較検討を重ねたのですが、ここでは「セキュリティ」はもちろん、「コスト効率」や我々の業務内容に合わせて「柔軟にカスタマイズできる」かという点も大切です。その結果、セールスフォース・ドットコムのサービスは世界中でも唯一無二のものと感じ、大分銀行の戦略的IT基盤として位置付け、採用することになりました。

田村: ありがとうございます。

――セキュリティ面においてはどのようにお考えになりましたか?

植木: 今でも「クラウドのサービス」と聞いた瞬間にセキュリティに不安を感じる方がいらっしゃいます。しかし、世界的なクラウド化の進展、日本政府のデジタルガバメント、クラウドファーストなどの方針、そして世界で15万を超える企業がSalesforceを採用している事実などを総合的に判断し、Salesforceの採用に踏み切りました。

――分かりました。それでは、コスト面やカスタマイズ性について具体的にどのような検討をされたのでしょうか。

植木: クラウドサービスは、利用形態に応じて「IaaS」「PaaS」「SaaS」に分類されます。このうち、仮想サーバーなどのインフラまで提供するIaaSがコスト効率面では有利と一般的に言われていますが、我々のような銀行業務に当てはめた場合、実はIaaSを使うと割高になってしまうんですよ。

田村: ここは非常に重要なポイントですね。

植木: はい。銀行の場合、業務の性質上、24時間運用でき、しかもセキュリティも確保されていなくてはなりません。そうすると、インフラは自社で用意してデータを一元化しつつ、クラウドはプラットフォームやアプリケーションとして利用をした方が合理的です。つまり、PaaS、もしくはSaaSの方がふさわしい。

 Salesforceの場合、PaaSとSaaSのいずれの使い方も可能です。プラットフォームとしてその上に様々なカスタムアプリケーションを構築して利用することもできれば、SaaSとして業務アプリケーションを利用することで業務に最適なベストプラクティスをスピーディーに享受できます。さらに必要なところはカスタマイズすることもできる。技術者でなくても業務内容に合わせて柔軟に設定変更が可能であり、今後さらなる業務の効率化やペーパーレス化を目指す上で、追加していきたい業務にかかわる機能の多くをSalesforce上で実装することもできます。こうした理由から、大分銀行ではSalesforceを採用することに決めました。

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地域経済のエコシステムを生みだす

――大分銀行のデジタル化は現状どういった段階にあるのでしょうか。

植木: 5カ年計画を立てて約1年ですから、サービス開発も始まったばかりの段階です。まずはフリーローンや口座開設におけるオンラインサービスの強化に向けて、オンライン上で全てのプロセスを完結できる仕組みをSalesforce Community Cloudで構築します。

 現状、フリーローンや口座開設の手続きのためには、最終的に店舗に来てもらう必要があります。しかし、Salesforce Community Cloudで構築するオンラインサービスを通じて、お申し込みはもとよりお客さまによる手続きの進捗状況の確認も可能にするなど、全ての工程をネット上で完結させられるようにする予定です。これによりインターネットを通じたお取引を好むお客さまや、店舗へのご来店が難しいお客さまの利便性向上を目指します。

 この他にも現状のサービスには改善の余地が少なくありません。実は、大分銀行のインターネットバンキングのアクティブユーザーは、総利用者の2割程度であり、稼働率が悪い。この状況を、UI・UXを改善することで変えていきたいと考えています。

――先ほどお話された、顧客データを活用した取り組みについてはいかがでしょう。

植木: オンラインサービスの拡充に伴い、コールセンターでのアウトバウンドやマーケティングコミュニケーションを通じた、顧客へのきめ細やかなフォローアップやサービス提案を可能にする新しい仕組みの構築にも着手していきます。

 これはまだ構想段階ですが、例えばライフステージに応じた投資信託の提案であったり、地元の不動産情報やグルメ情報などを提供したりといったサービスも考えられます。旅行会社と組んで代金決済をスムーズにするといったことも可能になるでしょう。

 これもクラウドサービスを利用するメリットなのですが、Salesforceは他のサービスとも連携させることができますので、地域に特化したプラットフォーマーとして、より幅広いサービスを提供していきたいです。

田村: セールスフォース・ドットコムも、AppExchangeという法人向けアプリケーション市場を通じて他社のアプリケーションを組み込んでサービスの価値を高めようとしていますから、大分銀行さまのプラットフォーマーとしての構想には非常に共感しています。今後は、大分銀行さまが目指すサービスに向けて、デジタル化の中核を担う企業として結果を出していきたいと考えています。

植木: ありがとうございます。私たちが目指していることを一言にまとめると、「地域のエコシステムを作る」ということに他なりません。そのためにもセールスフォース・ドットコムと共に、地域の人たちに喜ばれるサービスを生み出していきます。

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提供:株式会社セールスフォース・ドットコム
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2019年5月24日

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