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» 2019年10月16日 10時00分 公開

「義理・人情・プレゼント」営業から脱却:保険販売の“非効率”をテクノロジーで解消 「保険市場」から生まれたプラットフォームが代理店業務を変える

保険商品の比較情報サイト「保険市場」を運営するアドバンスクリエイトは、保険販売の概念を次々と塗り替えてきた。SalesforceのCRMを活用し、保険代理店に特化した顧客管理システム「御用聞き」と、共通プラットフォームを構築。業界全体のサービス向上を目指している。代理店業務のノウハウを持つ同社が起こそうとしている“変革”とは?

[PR/ITmedia]
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 消費者が自ら情報を活用し、商品を選ぶ時代――。変化の波は、「保険」という目に見えない商品にも押し寄せ、いまや一方的な営業は通用しなくなっている。そうした変化を時代に先駆けて捉え、保険販売の概念を塗り替えてきたのが、比較情報サイト「保険市場(ほけんいちば)」を運営するアドバンスクリエイトだ。

 同社は、SalesforceのCRM(顧客関係管理)を活用し、保険代理店に特化した顧客管理システム「御用聞き」と、共通プラットフォームシステム「Advance Create Cloud Platform」を構築。保険代理業界全体のサービス向上を目指している。

 保険商品と代理店業務のノウハウを知る同社は、どのような変革を起こそうとしているのか。専務取締役の村上浩一氏と、セールスフォース・ドットコムで常務執行役員エンタープライズ金融営業本部長を務める田村英則氏に聞いた。

アドバンスクリエイト 専務取締役の村上浩一氏(左)と、セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 エンタープライズ金融営業本部長の田村英則氏

「義理・人情・プレゼント」による営業から脱却する

――「保険市場」の運営を始めるにあたって、どのような問題意識があったのでしょうか。

村上: 保険は一種の金融商品ではありますが、販売という側面で考えると、他の金融機関よりも古い販売手段が主体となっていました。いわゆる「義理・人情・プレゼント」による販売が多く、保険の販売員が自分の縁故知人を頼って営業するケースも見られました。つまり、マーケティングやCRMの概念がほとんどなかったんですね。

 当社は、もともと通信販売から創業したという経緯もあり、保険販売においても「売りに行く」のではなく、「買いに来ていただく」というコンセプトのもと、マーケティングを意識して「保険市場」を作り込んできました。例えば、自社開発した顧客管理システム「御用聞き」に顧客情報を蓄積し、現在は御用聞きにSalesforceの機能を導入して、お客さまのライフタイムバリューの最大化にずっと取り組んできたのです。

――Salesforceを導入されたきっかけを教えてください。

村上: Salesforceを使い始めたのは今から約9年前のことです。それまでの御用聞きは自社開発による小規模なシステムだったのですが、当社の事業拡大スピードがかなり早かったことから、システムが負荷に耐えられなくなってきたのです。そこで、新たなシステム開発の必要に迫られたのですが、ここで求めたのが、スピード感をもって柔軟に対応できるシステムでした。この考えにより、オンプレではなくクラウドベースのシステムを導入することになったという経緯です。

田村: 確かに、システムを全て自社開発しようとすると、ネットワークのスピードや許容量も自ら設計しなくてはなりません。その点、Salesforceは、クラウドベースのシステムですから、何人で使っても、どれだけの容量を使っても、対応することが可能です。お客さまには、そのような制約条件を気にすることなく、集中してビジネスのアプリケーションを考えていただくことができます。

村上: 実はクラウドベースのシステムとしては、Salesforce以外にも複数の候補を検討したのですが、Salesforceはネットワークに強く、すでに複数の金融機関や官公庁でも導入実績があったことから、信頼できると考え、お願いすることにしました。

「マーケティングを意識して『保険市場』を作り込んできた」と話す村上氏

“かゆいところ”に手が届く顧客情報管理システム

――2018年11月から、御用聞きのシステムをASP方式(業務用アプリケーションの機能をネットワーク経由で顧客に提供する方法)で他社に販売されていますが、なぜでしょうか。

村上: 御用聞きは、当社が自ら使うシステムとして長年改善を重ねてきたものです。そのため、当社と同じく保険の乗合代理店を手掛ける企業にとってもお役に立てるのではないかと考え、販売することにしました。

 乗合代理店の業務は、一般的な顧客管理システムでは対応できないことが少なくありません。例えば、保険の販売履歴は当然ながら、保険業法や個人情報保護法等の関係法令への対応も必要です。さらに、当社は違いますが、多くの乗合代理店では販売員の給料に歩合制を採用しているため、報酬計算を行う機能も求められます。これらの機能を織り込んだシステムは、今のところ当社のものだけでしょう。

田村: 旅館業を営む陣屋様も、Salesforceを使ったクラウドアプリケーションを構築されて、その仕組みを販売されています。こうした事例も参考にされたのでしょうか。

村上: そうですね。Salesforceの営業の方からお話は聞いていたので、御用聞きの販売にあたってもイメージしていました。

――発売しての反響はいかがでしたか?

村上: おかげさまで大きな反響があり、今年6月には利用者アカウントが1000件を突破しました。営業の担当者から聞いた話では、「かゆいところに手が届く」というお声をいただいているようですね。

 これまで、保険の乗合代理店では、大手通信会社のシステムを利用するのが一般的でしたが、先ほど申し上げたような細かい管理項目を網羅できるものではありませんでした。今回、御用聞きを提供したことにより、業務が効率化され、義理・人情・プレゼントに頼らない、カスタマーリレーションを意識した業務に一歩近づけるのではないでしょうか。

システム開発の内製化が、変化への素早い対応を可能に

――なぜ、他にはない機能をもつシステムを開発できたのでしょうか。

村上: 当社には現在80人程度のエンジニアが在籍しています。彼らは、営業を担当する社員からのオーダーを受け、毎日のようにシステムをカスタマイズしている状態です。だからこそ、変化への対応が早く、かつ営業担当にも使いやすい機能を生み出せています。

 例えば、近年の保険業法の改正を受けて、顧客対応履歴や意向把握の状況などを管理し、後から検証できる内部管理体制を整える必要が生じたのですが、こうした変化にも御用聞きはいち早く対応しています。

田村: 素晴らしいですね。ちなみにエンジニアの方々は、Salesforceの開発技術に詳しい方が多いのですか。

村上: そうですね。Salesforceを導入して御用聞きをリニューアルした当時から在籍する社員が中心となっています。

田村: なるほど。お客さまの要望に応えるシステムを作るには、コストを下げるために複数の企業から見積もりを出してもらうのが一般的ですが、これではどうしても時間がかかってしまう。御社の場合はシステム開発を内製化していることで、コスト面、スピード面において非常に強いと感じます。システム開発の内製化が重要であることは昨今よく聞くようになりましたが、ずいぶん早くからそのような体制を取られていたのですね。

村上: 社長の濱田(佳治氏)は、保険販売にマーケティングを持ち込むという発想で事業を作り上げてきましたから、テクノロジーの重要性も強く認識しています。そのため、社長が自ら毎日のようにエンジニアと話をしているのです。

 社長がエンジニアに考えを伝え、それに対してエンジニアがフィードバックをする。あるいは営業担当とエンジニアのやりとりで生まれたアイデアについて社長と話し合う。このようなことが頻繁に行われているので、エンジニアも即断即決で対応できているのだと思いますね。

田村: ITに関わる人材はビジネスを知らない、ビジネスをする人材はITを知らないという問題は多くの会社に見られることですが、昨今のアメリカではITとビジネスの人材が一体化する動きが出ているようです。まさにそうした体制をすでに構築されているわけですね。

ITとビジネスの人材育成について語る田村氏

保険会社ごとにバラバラのシステムをプラットフォームで一元化

――2019年4月に、保険会社各社と乗合代理店を結んで運用される共通プラットフォームとして「Advance Create Cloud Platform」(ACP)のサービスを開始されています。こちらについて、背景を教えてください。

村上: 保険販売の世界では、保険会社が各社それぞれにシステムを構築し、そのシステムを販売者が利用することになります。そのため、直営の保険代理店はいいのですが、われわれのような乗合代理店の場合、複数のシステムを使い分ける必要があるのです。ここに私たちの問題意識がありました。

 システムはそれぞれに使い勝手が違いますから、どうしても非効率になってしまいます。例えば、OSのアップデートに対応するタイミングは保険会社によって違いますから、「Windows10にアップデートしたら、A社のシステムは問題ないが、B社のシステムは使えなくなってしまった」といった状況も起こり得るのです。

 もちろん、システムそのものを一元化できれば、こうした不合理は解消されるわけですが、当社から各社にお願いしてシステム自体を入れ替えてもらうことは不可能です。そこで、当社がSalesforceのCRMを活用してシステム基盤をクラウド上に構築し、この基盤を各保険会社の基幹システムと連携してもらうことによって、一度のデータ処理によって複数の保険会社とのデータ処理をしようと考えたのです。

田村: おっしゃったように、新たにプラットフォームを作ろうとしても、日本のルールや企業の個別事情が制約となる場合があります。この点においては、Salesforceには既存システムと連携できる柔軟性があるので、対応することができます。

村上: はい。保険会社を正面突破するのではなく、当社ができることから動かしていくというのは、当社らしいやり方だと思いますね。今回の取り組みにあたっては、システム基盤にSalesforceを使っていることによる信頼感も生きてくると考えていましたが、実際、ご協力をいただける保険会社は徐々に増えています。

田村: 私は4年前にセールスフォース・ドットコムに転職してきたのですが、当時に比べると、Salesforceを導入していただける金融機関が非常に増えてきました。このことによって、代理店さんにとって、より効率のいいビジネス環境を構築するお手伝いをしやすくなっていますね。

保険代理業界全体の向上を目指す

――最後に、今後の展開についてお聞かせください。

村上: 当社は、保険の分野から外に出ることはありません。創業者である社長が親族のがん罹患に伴い、保険販売に携わるようになったというルーツがあり、今後も保険の価値を世の中に広め続けていきたいと考えています。

 そのためにも、保険代理業の地位向上のために、今後も業界にとって価値あるサービスを生み出していくつもりです。先ほどお話しした御用聞きも、廉価で販売しているのですが、これも保険代理店の業務を効率化して、業界全体を高度にしたいと考えてのことです。

 販売する外務員の事務効率化は、手続きの際のお客さまの拘束時間の削減に直結します。申し込みに限らず、さまざまなフェーズの手続きを簡便にできるプラットフォームができれば、お客さまに対する商品の説明など、重要な仕事にリソースを使えるようになりますから、ぜひ実現させたいですね。

 今なお、生命保険は対面販売が主流ですが、昔と違うのは、お客さまが商品の情報を事前にかなり調べられているという点です。そのため、単に保険を勧めるだけではなく、お客さまのライフプランも含めて説明するといった創意工夫が求められています。

田村: そういったソフトパワーを高める上でも、テクノロジーによる業務効率化は重要ですね。

村上: そう思います。さらに、これまで続けてきたBtoBの領域だけではなく、BtoCにおいても、保険に関するサービスを生み出そうとしています。現在開発を進めているのは、保険証券をスマートフォンで撮影して、情報をクラウド上に格納するアプリです。情報の読み取りはコージェントラボ社のOCR認識技術を用いています。これを使えば、自分が契約している保険を簡単に管理でき、さらには事故などがあったときにボタン一つで保険会社に連絡できるようになります。

 このようなサービスを作り、BtoCの領域に踏み入れることで、さらに当社の顧客接点が広がるわけですから、ここから次の展開も待っているでしょう。例えば、お客さまに最適な保険を、読み込んだデータに基づきレコメンドするようなサービスも考えています。

田村: 実は、Salesforceが金融エコシステムを構築するために連携を進めているパートナー企業の1社がコージェントラボ社なのです。この切り口からも、Salesforceとアドバンスクリエイト様の新たな連携が生まれるかもしれません。

 ぜひ、今後はSalesforceのユーザーとしてだけでなく、パートナーとして協業を加速させていただければと思います。本日はありがとうございました。

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提供:株式会社セールスフォース・ドットコム
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2019年11月12日

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