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» 2019年08月05日 10時00分 公開

顧客接点を“見える化”:「デザイン思考×CRM」で最高品質のサービスを ダイナースクラブが目指す“お客さま視点”の変革

お客さまに価値を実感していただけるサービスを――。そんな理想があっても、何に取り組むべきか悩む企業は多いだろう。問題の“本質”を見極めるにはどうすればいいのか。真の変革を成し遂げるため、「デザイン思考」の手法を取り入れて業務改善に挑んでいる人たちがいる。「ダイナースクラブカード」を手掛ける三井住友トラストクラブだ。同社は、最高品質のサービスを提供するため、業務変革に着手した。タッグを組んだのが、セールスフォース・ドットコムで「デザイン思考プログラム」を推進するIgniteチームだ。両社の取り組みは、顧客体験にどのような変化をもたらしたのか。

[PR/ITmedia]
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 お客さまに価値を実感していただけるサービスを――。そんな理想があっても、何をどこから取り組むべきか悩む企業は多いだろう。問題の“本質”を見極めるにはどうすればいいのか。

 真の変革を成し遂げるため、「デザイン思考」の手法を取り入れて業務改善に挑んでいる人たちがいる。「ダイナースクラブカード」を手掛ける三井住友トラストクラブだ。

 世界初、日本初のクレジットカードとして、半世紀を超える歴史をもつダイナースクラブカード。同カードを取り扱う三井住友トラストクラブは、顧客を中心とした最高品質のサービスを提供すべく、CRM(顧客関係管理)による業務の変革に着手した。

 ここで同社がタッグを組んだのが、クラウドベースのCRMで世界市場をけん引しているセールスフォース・ドットコムのIgnite(イグナイト)チーム。“あるべき姿”を明確にし、「ユーザー・セントリック・デザイン」を共創するIgniteプログラムは、どのような変化をもたらしたのか。

 三井住友トラストクラブとセールスフォース・ドットコムが、これまでの歩みを振り返るとともに、展望を語った。

photo 三井住友トラストクラブの團野弘祥氏と渡部吉一氏、セールスフォース・ドットコムの田島佳奈氏と田村英則氏(左から)

ボトルネックは、組織と情報の“フラグメント化”

――まずは、三井住友トラストクラブがセールスフォース・ドットコムのIgniteを実施するに至った背景を教えてください。

團野弘祥氏(三井住友トラストクラブ マーケティング本部 マーケティング第2部 部長): 当時、私は弊社の情報系システム全般の企画・開発を担うセクションに所属していました。

photo 三井住友トラストクラブ マーケティング本部 マーケティング第2部 部長の團野弘祥氏

 当時からすでに弊社ではセールスフォース・ドットコムのクラウドサービスを部署間の情報共有ツールとして導入していたのですが、より会員の皆さまに喜ばれるサービスを提供するためには、「最高品質のCRM」を作り上げたいという考えがありました。

 そこでサービスや業務全体の姿を考えた時、課題は「業務や情報のフラグメント化」にありました。私たちが会員様に接するのは、本業のクレジットカードサービスの提供のみならず、保険サービスの提供であったり、旅行のサポートであったりと、いくつかのシーンがあり、それらのサービスはトラベルデスク、コンシェルジュデスク、コールセンターなど複数の部門が連携して担っています。各部門とも会員様へ最高のサービスを提供したいという思いはひとつですが、各部門がそれぞれのサービス特性に合わせて独自に情報蓄積・活用しており、複数のツールやシステムに情報が分散している状態でした。そのため、情報を活用するにも複数のシステムを参照するなど、業務効率も良いとはいえず、目指していた一貫したシームレスな顧客体験を提供しているとはいえない状況でした。

 お客さま視点からダイナースクラブのサービス全体を捉え直し、会員様が求める最適なサービスや顧客体験を提供できる姿が望ましい。そう考えましたが、私たちだけで実現させるのは難しいという気持ちもありました。そこでセールスフォース・ドットコムに相談し、Igniteの実施に至ったという経緯です。

――Igniteとは、具体的にどのようなサービスなのでしょうか?

photo セールスフォース・ドットコム ジャパンイノベーションリード Igniteの田島佳奈氏

田島佳奈氏(セールスフォース・ドットコム ジャパンイノベーションリード Ignite): Igniteは、顧客中心のビジネスに変革したいという熱意を持つクライアントさまに対して、デザイン思考を活用し、その変革を支援するプログラムです。

 具体的には、現場インタビューや観察などから変革のポイントを探るとともに、ワークショップによってクライアントさまが願う顧客とのありたい姿を描き、顧客や従業員体験のストーリーとソリューションを具体化するまでをサポートしています。

團野: もともと、フラグメント化という課題に対して、CRMにより解決するという全体像を描くことはできていました。ただ、業務は毎日動いていますから、いきなり私たちが考えたCRMのツールや仕組みを導入しても、現場で使ってもらえないのではないか、という懸念がありました。ただ一方でIgniteは、この点を解決してくれるのではという期待もありました。

渡部吉一氏(三井住友トラストクラブ 営業企画本部 営業企画部 企画チーム マネージャー): 私も、当時は團野と同じセクションに所属していたのですが、ダイナースクラブが目指す最高品質のサービスを提供するには、「1 to 1」であることが大切であるという共通認識は持っていました。つまり、お客さまを中心として、一貫性のあるブランド体験の提供と、顧客お一人お一人に最適なサービスを提供することが、品質向上の重要課題であると考えました。

 そして、ダイナースクラブのブランドを体現する当社スタッフの皆が一丸となって変革を起こすためには、現場スタッフと企画部門が共に考えて、誰もが納得するソリューションを考える必要があります。Igniteは、ワークショップなどを通じて、現場スタッフと共にソリューションを見いだす手法ですから、Igniteをコアにして弊社のCRM構築を進めることに意義があると感じましたね。

田島: ビジネスを変革するとき、多くのお客さまはいきなり仕組みを刷新しようとしがちですが、おふたりがおっしゃるように、現場のユーザー理解がなければ思うような成果を得ることができません。三井住友トラストクラブさまについては、最初の段階から、「お客さまを中心に考える」という意志があり、既存の業務プロセスを顧客を中心としたものに改善した上で、新しい仕組みを考えるという方向性をお持ちだったので、Igniteのサービスと相性がいいと思っていました。

顧客接点の現場から見えてくるもの

――今回は、どのようなプロセスでIgniteのプログラムを実施されたのでしょうか?

團野: まず、東京と沖縄にあるコールセンターや業務部門などの顧客接点のあるセクションを全て、われわれとセールスフォース・ドットコムの担当の方で一緒に訪れ、現場の観察やインタビューを実施しました。

田島: 沖縄のコールセンターでスタッフの方の話を聞いたことは印象に残っていますね。多くのスタッフの方が、かかってきた電話の問い合わせやリクエストに対応するだけでなく、お客さまにプラスアルファの提案をして「ありがとう」と言われたときに、実は大きな喜びを感じていることが分かったのです。

團野: 確かに、現場に行くことで初めて分かることは多かったですよね。こうしたプロセスを経ていなければ、いくら改革案を練っても“絵に描いた餅”になっていたかもしれません。あそこまで深く現場のことをリサーチしたのは初めてでしたから。

渡部: 現場を視察すると、日々当たり前に実施されている業務の中にも、改善できる具体的なヒントを多く得ることができました。例えば、コールセンターのスタッフ同士の情報共有は手書きのメモで行われていたのですが、クラウドのデジタルツールを使えば、もっと情報の伝達のスピードや正確性が向上すると感じました。

――Igniteのプログラムの一環として、老舗旅館の「陣屋」を訪問されたとのことですが、どういった目的があったのでしょうか?

photo 三井住友トラストクラブ 営業企画本部 営業企画部 企画チーム マネージャーの渡部吉一氏

渡部: もともと私たちは、Salesforceのクラウドサービスについて「最先端のテクノロジー」というイメージを強く持っていました。ですから、「顧客の年齢層も広く、老舗カードブランドである私たちに利活用できるのか」という疑問が正直ありました。陣屋様は100年以上の歴史を持つ老舗旅館でありながらセールスフォース・ドットコムの先進的なCRMを導入しているということでしたから、われわれにとってもヒントになると思い、視察させていただきました。

 実際の現場視察を通じて、女将さんとスタッフの方がクラウドでしっかりと情報連携を行い、お客さま個々人に高品質のサービスをタイムリーに提供されている様子が分かりました。これを見た瞬間、私は大変感銘を受け、われわれにとってもおもてなしの心をお客さまにお届けするためには、SalesforceのCRMは必要だと確信したのです。

田島: 人間にしか付加価値を出せない旅館業のような領域であっても、実はSalesforceのCRMを使ってサービスの価値を向上していただける。これは、大きな気付きでしたね。

本音で語り合うワークショップから、ソリューションを具体化

――その後、ワークショップを実施されたということですが、こちらはいかがでしたか?

田島: ワークショップを本当に意義のあるものにするには、ディスカッションを活性化しなくてはなりません。そのために、ワークショップのメンバーは、コールセンターにいる方やパートナー企業の方などを加え、ダイバーシティを意識したことで、さまざまな立場から意見が出てくるよう配慮しました。さらに、私たちが独自に用意したアクティビティーを取り入れて、より深い議論ができるよう工夫をしました。

渡部: それまでは、部門やパートナー企業の垣根を超えてスタッフが集い、業務やサービスについて議論し合うような機会は多くありませんでしたから、Igniteは貴重な機会になったと思いますね。われわれ企画部門も、現場のスタッフも、同じゴールに向かって動いていたわけですが、時には意見が違ったり、認識相違により意見が衝突したりすることもあるわけです。Igniteのワークショップでは、腹の底から意見を出し合うことができたので、そうした現場の問題を見いだすこともできました。

團野: ワークショップがうまくいったのは、やはり事前に現場の観察やインタビューをしっかり行っていたからだと思います。これはもちろん、情報を把握する上でも意味がありましたが、それだけではなく、現場の人たちが本音を出しやすい雰囲気を醸成できていたことも良かったですね。

渡部: 今回のワークショップはセールスフォース・ドットコムのエンジニアにも参加してもらい、どのようにして具体的にSalesforceのCRMを導入し、システムの画面を構築するかといった点もその場で考えることができました。参加者のアイデアが目の前でソリューションとして具体化するのを見て、「Igniteを信じてよかった」と思いましたね。

田島: ありがとうございます。現場から出てきた「これが欲しい」というアイデアをすぐにプロトタイプとしてデジタルツールに落とし込めるのは、SaaS(必要な機能を必要な分だけ利用できるソフトウェア)としてのSalesforceの強みだと思います。

――なるほど。そして今回Igniteを経て導き出した“あるべき姿”とは、どのようなものだったのでしょうか。

團野: 統合された顧客データを活用し、期待を超えるサービス、パーソナライズされた顧客体験を提供するとともに、お客さまとのエンゲージメントを高める仕組みを実現するというものです。

 具体的には、顧客データをSalesforceのCRMに一元管理し、コールセンター、営業、マーケティング、外部の運営委託会社という各部門が同じ顧客情報を参照し、それをもとに顧客対応を行えるようにすることでシームレスにサービスを提供する。そうした方向性をIgniteにより言語化し、関係者で共有しました。

渡部: お客さまとのより長期的な深いエンゲージメントを実現するためには、顧客接点のサービスレベルの向上を図るとともに、パーソナライズされた特別な顧客体験を提供しなくてはなりません。そのためには、あらゆる接点での応対履歴が集約された顧客情報と各部門の連携が必要になってきます。そしてSalesforceのCRMをシステム基盤として活用すれば、その仕組みを構築していくことができる。こうしたポイントを認識できたことは良かったと思いますね。

團野: ワークショップを経て、当社はすでに営業とコンシェルジュデスクとの業務基盤統合による顧客対応品質の向上に取り組んでおり、あるべき姿に一歩近づきました。今後はより長期的な深いエンゲージメントの構築にむけて、別途デジタル領域で活用しているSalesforce Marketing Cloudで構築したマーケティング基盤とも連携し、顧客タッチポイントにおけるサービスレベルの向上と、パーソナライズされた特別な顧客体験の提供をさらに進めるロードマップを描いています。

統合CRMを導入直後に得た、目に見える成果

――統合CRMの実装を進められてから、どのような変化がありましたか?

渡部: 多角的な要因もありますが、導入後の効果として、コールセンターの応答率が二桁のパーセンテージで改善されました。また、社内の情報連携のスピードと正確性が向上し、お客さまをお待たせする時間が短縮され、業務全体にかかる時間を削減することができました。その分、サービスを提案する時間が増えました。オペレーターとお客さまのいずれからも喜びの声が上がり始めています。

 具体的な事例としては、外勤の営業スタッフとトラベルサービスを担当するトラベルデスクのスタッフが情報連携をしたことで、サービスのご案内がスムーズになりました。好事例の一つとして、関西地区に居住する顧客に対し、トラベルデスクのスタッフがご依頼の都度「どちらの空港をお使いですか?」と尋ねていたのですが、営業スタッフがお客さまの利用空港の情報を共有したことで、トラベルデスクのスタッフが即座にご希望の空港からの発着便を提案できるようになったのです。

 また、トラベルデスクによる情報連携がリアルタイムに行われるようになったことで、旅行関連の保険サービスのご提案など、お客さまの必要なタイミングに最適なカードサービスを提案できるようになり、サービス品質の向上と共に、クロスセールスの売り上げ向上につながりました。

團野: 実は、CRMの導入にあたっては、心配していることもありました。情報を連携するには、情報をクラウドに入力してもらわなくてはいけませんから、ここで作業時間を取られる可能性があったのです。でも、CRMの導入後は、先ほど申し上げた通り業務全体の作業時間が減りましたから、結果として問題ありませんでした。

渡部: 当初は現場のスタッフからも「無駄な入力作業が増えるのでは」という声が聞かれることがあったのです。でも、Igniteを通じて、部署をまたいで支え合う関係を構築していたこともあり、皆が「組織として何ができるか」という視点に変わったことで、現場が納得する形で業務を変革することができたのだと思います。

photo セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 エンタープライズ金融営業本部長の田村英則氏

田村英則氏(セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 エンタープライズ金融営業本部長): われわれは、クライアントさまのビジョンに寄り添うことをとても大切にしています。ですから、「Salesforceを入れてよかった」と言ってもらえることを本当にやりがいとして、私たちは動いています。

 「どこまでお客さまの立場になって、サービスを見直せるか」という視点を持ったときに、初めて人を動かし、会社を動かし、サービスを変革することができる。こうした思いのもと、ワークショップなどを通じて“あるべき姿”を具体化できることが、Igniteの大きな特長です。

プレミアムなクレジットカードとして、より高みを目指す

――統合CRM構築までの道のりはまだ続くとのことですが、これから目指しているところをお聞かせください。

團野: 現在私は、マーケティングセクションに異動し、ダイナースクラブのデジタルマーケティング領域全般を担当しています。この領域の顧客体験設計にはデジタルならではの最適な作法がありますので、まずはデジタル上で心地よい顧客体験を提供できるよう、Salesforce marketing cloudを活用して日々創意工夫をしています。

 一方で、お客さまからすれば、デジタル接点もコールセンターのようなアナログ接点も関係ありませんから、これからはデジタル・アナログのサービスをシームレスにつなげて、お客さまに最高のサービスを提供するための統合CRMプラットフォームとして、さらに進化させていく必要があると考えています。

――例えば、どういったアイデアをお持ちですか?

團野: そうですね。例えば、何らかの理由やエラーにより店頭でカード利用ができないケースがあります。これはお客さまにとって大きなマイナスの顧客体験ですよね。こういったシーンでこそ統合CRMのプラットフォームを生かすことで、デジタルやアナログといった顧客接点によらず、できるだけ早いタイミングで総合的にリカバリーしていく業務プロセスが作れると思います。企業視点でCRMを考えた場合、クロスセルのような収益に貢献する施策を志向しがちですが、こういったマイナスの顧客体験を解消していく取り組みは、ぜひ積極的に推進していきたいと考えています。

渡部: クレジットカードの役割は、決済手段から「お客さまに体験を提供するもの」に、徐々に変わってきています。そういった意味では、フラグメント化されている情報をさらに構造化し、お客さまに対して一貫性のあるブランド体験を提供できるように努力していきたいですね。各部門の垣根を超えて、会員の皆さまを中心とし、最も信頼される最高品質のカードブランドとして、さらなる進化を続けたいと思います。

田村: 三井住友トラストクラブの皆さまは、さらに次の段階を見据えていらっしゃいます。私たちも、皆さまの前向きな気持ちや成長に寄り添って、今後もご支援をさせていただきたい。今日はとてもいいお話を聞けたと思います。ありがとうございました。

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提供:株式会社セールスフォース・ドットコム
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2019年8月21日

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