温暖化がビジネスチャンスに? 気温上昇でごはんがおいしくなるワケ(1/2 ページ)

» 2019年06月15日 07時10分 公開
[片山由紀子ITmedia]

 記録的な暑さに見舞われた5月。北海道では観測史上初めて気温が39度を超えました。真夏でもめったにない気温に、気象関係者の誰もが驚きを隠せません。初夏の心地よい陽気もどこへやら、熱中症の危険が高まるばかりです。

北海道の夏の平均気温の変化グラフ(1946年〜2018年、著者作成)

 こちらは北海道の夏の平均気温をみたものです。平年を中心に、高い、低いを表しています。平均気温は年による変動が大きいものの、この50年あまりで、約1度高くなりました。

 日々、気温は変化していると思えばわずかに感じるかもしれませんが、6月から8月までの3カ月間の気温が、平均して1度高くなったことはすごいことです。

温暖化で北海道はコメの一大産地に

 この影響はさまざまなところに表れています。その1つがコメ作りです。

 北海道のコメ作りの歴史は冷夏との戦いでした。1945年、北海道は大冷夏に見舞われ、食事に事欠く日々だったと祖母から聞かされた記憶があります。これまで夏が涼しい北海道はコメの生産に向かない地域とされてきました。

 北海道のコメ作りは冷夏でも育つことが重要で、食べたときの味わい(食味)まで行き届きませんでした。しかし、温暖化の進行で夏の平均気温が高くなるにつれて、コメの収量も増加しました。ようやくおいしいコメ作りができるようになったのです。

 夏の平均気温と収量の相関係数(関連度)を求めると「0.68」。北海道のコメ作りに夏の天候が関わっていることがうかがえます。

北海道の夏の平均気温と水稲10アールあたりの収量(1958年〜2018年、著者作成)

 北海道がコメ作りの一大産地になったことは、ブランド米の「ななつぼし」や「ゆめぴりか」の登場でも分かります。コメの食味ランキングによると、ななつぼしは9年連続で最高ランクの特Aです。気候の変化と品種改良が好循環となり、北海道のおコメがおいしくなったといえます。

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