――現在、日本ではいわゆる「金融教育」を受ける機会は皆無に近いと思っています。そもそも現在の日本の教育について思うところはありますか? こういうところを変えるべきだ、など。
僕はそもそも「べきだ論」が好きじゃないんです。ようするに、もうこういうネットの社会になって、ニコニコ動画で授業を流すこともできますから、学ぶ方も自分で何でも学べるわけじゃないですか。好きな時に好きな方法で自分の感性を育てていく方がいいのではないかと思うのです。
基礎的な学力をつけるための学校教育は大切だと思います。ただ、そこから自分の好きな分野にさらに歩みを進めるためには、基礎的な教育だけでなく、そこから自分の感性に合ったものを選んでいけばいい。僕がする授業の動画もいろんな人が見られるようになればいいなと思っています。HIKAKINみたいになれるかも(笑)。
――知人とも話していたのですが、銀行のカードローンや消費者金融に手を染め、借金を作って苦しんでいる若者が増えています。私の周りにも金融やお金に対する知識が不足していることによって、何の気なしに雪だるま式に借金が積み上がり、人生設計に支障をきたしている友人が少なからずいます。もう少し、金融の知識があれば、安易にお金を借りたりせず、他の方法も思い付いたりしたのかなと思う部分もあるのですが、どう思われますか。
まず、(その人は)なんで借金をしたの?
――親から「お金を貸してくれ」と言われて、貸すお金がなくて銀行のカードローンで借りてしまったということでした。
それは、かわいそうだ……。
教育ローン(奨学金)を借りた人のうち、いま年間で3000人ほどが、破産しているそうです。これもかわいそう。この3000人には、親などの連帯保証人や保証人も含みます。借りる額が大きくなると、親も連帯保証に入りますから。
奨学金を借りる前に、そもそも何のために勉強をしたいのか、何を勉強したいのか、勉強するためにお金を借りていいのかということまで、よく考えなければならないと思います。僕もいろんなかたちで、そうした問題にも関わっていけたらうれしいと思う。
お金は道具でもあるけど、怖いものでもある。授業を通してそういう学びをしてくれると、とてもうれしいですね。
――お金に関しては、ほとんどの人が失敗をしてから、初めて学ぶことが多いように思います。そこを変えることはできないのでしょうか?
だから、この取り組みをするんですよ。ようするに中学、高校で失敗する恐怖も学んでおかないといけない。もし負けたり損をしたりしても、彼らにとってはそれが経験になります。たった3万円負けただけで、それが一生モノの経験になるかもしれません。
でも、さっきの借金の話はかなりシリアスですよね。
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