スルガ銀と結託 “情弱”狙った「かぼちゃの馬車」運営会社の「詐欺まがいの手口」あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る(3)(3/4 ページ)

» 2019年08月09日 05時00分 公開
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新規売上金を既存オーナーへの賃料に充てる「自転車操業」

 シェアハウスのオーナーの元に届いたのは「サブリース賃料支払い変更のお知らせ」と題する通知書だった。その文書には、スマートデイズがオーナーに毎月払う賃料の減額とともに、その背景として、金融機関からオーナーに対する融資方針の変化を示唆する内容が書かれていた。

 スマートデイズの収益の柱は不動産販売による売り上げであり、オーナーに対する金融機関からの融資が滞ることになれば成立しない。この間、シェアハウスの部屋数は急拡大していたが、肝心の入居率は当初想定よりも大幅に低い水準にとどまっていた。新規の物件売却で得た収入を、既存のオーナーへの賃料支払いに充てるという、自転車操業に陥っていたとみられる。

 資金繰りも急速に悪化するなか、年明けの1月中旬には物件オーナー向け説明会を開催。その場で、毎月支払ってきた賃料の支払いが1月以降、難しくなることを明らかにした。あわせて、親会社のオーシャナイズ代表取締役が代表に就任する旨も発表した(その後、民事再生法申請直前に代表辞任)。

 新たな経営陣のもとで大幅な業態転換を模索していたが、物件の開発・販売もほぼ停止状態となっていた。3月末には一部のオーナーらが集団でスマートデイズらに対して損害賠償請求訴訟を提起するなど、破綻は秒読みと見られていた。

 そんな最中の18年4月9日、スマートデイズは民事再生法の適用を申請するが、同月18日付で申し立ては棄却、破産手続きに入ることが決定された。負債額は債権者約911人に対し約60億3500万円。このうち物件オーナーは約675人、約23億円にのぼった。スマートデイズの破産は、入居者、オーナー、関係取引先に甚大な影響を与えた。

 入居者には、4月9日付で「民事再生手続開始申立てについてのお知らせとお詫び」が発行された。「入居者様の生活インフラの維持が確保されるよう努めて参る所存」とする一方で、「目下の弊社の資金繰りに鑑みますと、入居者様居住物件における水道、電気、ガス、インターネットなどの生活インフラの確保が困難となるおそれ」にも触れられている。入居者には別途、シェアハウスの管理が別会社へと移行する旨、通達があったという。

phot 4月9日付で発行された「民事再生手続開始申立てについてのお知らせとお詫び」。「目下の弊社の資金繰りに鑑みますと、入居者様居住物件における水道、電気、ガス、インターネットなどの生活インフラの確保が困難となるおそれがございます」とある(スマートデイズWebサイトより)

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