スルガ銀と結託 “情弱”狙った「かぼちゃの馬車」運営会社の「詐欺まがいの手口」あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る(3)(2/4 ページ)

» 2019年08月09日 05時00分 公開
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“注目の不動産ベンチャー”として知名度獲得

 スマートデイズは、シェアハウスのオーナーに対して、長期にわたる一定額の賃料支払いの保証(家賃保証)を謳(うた)うとともに、他の業者に比べて高い利回りを提示できる点をウリにしていた。こうしたビジネスモデルによって、“注目の不動産ベンチャー”として一定の知名度を獲得。14年7月期に、わずか8億5000万円だった年売上高は、約2年半後の17年3月期には316億円にまで急伸した。

 アベノミクスによる金融緩和を追い風に、上場も視野に入れていたという。

 倒産から1年前のこの時点では表向き、事業は順風満帆そのもの。破産という事態を想像できた関係者はほとんどいなかっただろう。

 「かぼちゃの馬車」は、入居者を女性に限定しているのが大きな特徴だった。基本的に自社社員および女性アルバイトで対応し、入居者が安心して利用できる環境を作っていた。

 このほか、大手人材派遣会社と提携し、入居者に対する派遣企業の紹介事業も開始する。

 16年8月には代表(当時)が、書籍『「家賃0円・空室有」でも儲かる不動産投資』(ダイヤモンド社)を出版。家賃外収入による新たなビジネスモデル構築を広くアピールした。

 そして17年夏には、大学発ベンチャーのオーシャナイズ(東京都港区)と資本業務提携し、同社の傘下入りを果たす。このまま順調に事業を拡大していくかに見えたが、17年10月、商号をスマートライフからスマートデイズに変更すると、程なくして情勢急変が明らかになる。

phot 書籍でも家賃外収入の有用性を説いていた(『「家賃0円・空室有」でも儲かる不動産投資―――脱・不動産事業の発想から生まれた新ビジネスモデル』(ダイヤモンド社)より)

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