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» 2019年10月10日 08時00分 公開

有名人サロンやN国も踏襲:それでもオンラインサロンが受ける理由――「デジタル選民ビジネス」という甘いワナ (1/3)

有名実業家やタレントなどが主催するオンラインサロンがいまだに盛況だ。筆者はその裏に「デジタル選民意識」の利用があるとみる。あの「N国」も巧みに操るそのビジネスモデルとは?

[真鍋厚,ITmedia]

 昨今幅を利かせているオンラインサロンビジネス――。外野にとっては「閉鎖的でどんなことが行われているか分からない」、また「その多くがカリスマ的な人物を中心に回っている」ため、「搾取ビジネス」や「宗教・カルト」などと揶揄(やゆ)されることが非常に多いのが現状です。おおむねピークの時期は過ぎたとはいえ、有名実業家やタレントなどが主催するオンラインサロンは盛況です。

photo インターネットの普及で高まる「デジタルコミュニティー」への帰属意識(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

仲間を求める「選民意識」という欲求

 このようなオンラインサロンのメンバーになって、実際に商売などで大きな成功するような人も中にはいますが、ほとんどは「コミュニティーへの帰属感」や「優れた価値を志向する集団に所属する“選民感”」にひかれています。

 確かに仲間内でのオフ会が活発なオンラインサロンでは、仕事面や友人関係でメリットが得られるケースがあり、心理的な安定を得ている人も多いことでしょう(残念ながらサロンメンバーにやたらと労働力と出金を求め、それによって忠誠心を試すような“悪徳サロン”が少なくないのも事実ですが……)。

 しかし、これは大きな視点で見た場合、世界的な潮流となっている「デジタルコミュニティー」の増殖・拡大という現象と切り離すことができません。ジャーナリストのジェイミー・バートレットは、この背後に「再部族化行為」(リ・トライバリゼーション)があると看破しました。インターネットのインフラ化によって、物理的な制限なしに人と人が結び付き、「サイバー部族主義」がもたらされたのです。これがいわば「サロン化」というメカニズムを支えている舞台装置です。

 つまり、「仲間作り」という古くからあるわたしたちの欲求に根差した、新しい「“デジタル選民”ビジネス」と呼ぶことができるかもしれません。

 前述の“選民感”という言葉に、抵抗をおぼえる人も多いでしょう。けれども、「選ばれた感」と柔らかく言い直すとどうでしょうか。元来わたしたちは「自分が人と違うこと」を認めてもらいたいと思うと同時に、「自分は○○(帰属集団)の人であること」を認めてもらいたいという矛盾を抱えて生きています。

 これはどのようなコミュニティーにも必然的に生まれるウチとソト――包摂と排除――という機能のバックボーンとなっています。家族や会社、地域共同体から国家に至るまで規模の大小を問わず例外はありません。

 「一流企業というブランド」のヒエラルキーにこだわる者もいれば、「新興宗教が与える魂のステージ」に執着する者もいるのは、そのロジックが浸透しているためです。流動化の著しい現代において「コミュニティーの一員」になるということは、多かれ少なかれ「選民的なニーズ(選ばれている感覚の追求)」の逃れがたい引力の影響圏内に入ることを意味します。

 現在流行っているオンラインサロンを見渡してみると、いくつかの興味深い共通点が浮かび上がります。

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