「焼肉ポリス」がお客にダメ出し!? 安楽亭と牛角を脅かす「焼肉きんぐ」の戦略に迫る長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)

» 2019年10月29日 06時15分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

さらなる成長のためメニューを一新

 マイナーチェンジを繰り返してきた焼肉きんぐのメニューが一新されたのは17年1月。この頃、業績に陰りが見え、さらなる成長のためにテコ入れが必要と判断された。

 ここで確立されたのが、焼肉きんぐに来店した顧客の大半が注文するという肉厚の4大名物である。それまでも肉厚メニューとして提供して好評を博していた商品があった。ステーキを食べているようなごちそう感があるのが特徴だ。

 その4大名物とは「きんぐカルビ」「ダイヤモンド上カルビ」「ドラゴンハラミ一本焼」「鬼厚ガリバタ上ロース」である。

photo ドラゴンハラミ一本焼

 きんぐカルビとダイヤモンド上カルビは、同じカルビだが食感が異なる。きんぐカルビのほうが、脂身が多くてやわらかいように感じられる。ドラゴンハラミ一本焼はピリ辛ダレに漬けられており、つぼに入って提供される。ハサミで一口サイズに切って食べるスタイルだ。鬼厚ガリバタ上ロースは、ガーリックバターじょうゆの風味が肉のうまみを引き出す。

 これら4大名物を食べるだけでお得感があり、お腹もかなり満たされる。普通の胃袋の持ち主なら、食べ放題といえどもそんなには食べられるものではない。

 「食べ放題というのは集合体の価値なので、品数の豊富さにはこだわっています。品数にこそ、バリューがあると考えています」(前出の山口氏)

 食べ放題コースは3つあり、58品コースが2680円(税抜、以下同)、きんぐコースが2980円、プレミアムコースが3980円となっている。時間は各100分。

 4大名物が注文できるのは、きんぐコース以上。プレミアムコースでは、国産牛や厚切り熟成牛タンも楽しめる。

 ランチ限定の1980円で食べ放題ができるコースもあり、ソフトドリンクも飲み放題である。こちらは高校生や大学生にも人気があり、授業や部活の帰りに立ち寄るケースが多い。なお、午後3時までは、全てのコースでソフトドリンクが飲み放題となる。毎日ランチ営業を行っているのは18店。その他の210店は土曜・日曜・祝日のみである。

 きんぐコースが圧倒的な人気を誇っており、顧客の65%が注文する。58品コース、プレミアムコース、ランチのコースは各10%ほど。残りの数%は単品で注文している。

 4大名物以外にも、卵をといて食べるすき焼き風焼き肉、ネギ塩きんぐタン、ホルモン、豚肉、鶏肉、黒(黒胡椒)・赤(旨辛)・黄(チーズ)の焼き肉、サンチュ、各種サラダ、キムチ、ナムル盛合せ、エビ焼きなどの海鮮、焼き野菜、スープ、たこ焼きなどのサイドメニュー、ショコラケーキをはじめとするデザートなど、バリエーションは幅広い。

 人気メニューの中には、口の中がさっぱりするそうめん、焼き肉を乗せて食べるように開発された専用のバウンドごはん、期間限定で提供されている3種類のタピオカなどもある。従来の焼き肉店の発想を超えたメニュー開発力で、顧客を引き付けている。

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