郊外のファミリー焼き肉店は、焼肉きんぐをはじめとしてテーブルバイキングが主流となってきた。関西と福岡を基盤とするワンカルビは、50代以上のシニア・シルバー客を割引の対象にしている。しかも、60代、70歳以上と高齢になるほど割引率が高くなる独特な価格体系が魅力となっており、3世代を集客した結果、83店まで増えた(19年10月25日現在)。
また、国産牛を打ち出す「肉匠坂井」は、全国に100店を展開する焼き肉チェーンの焼肉さかいを母体にしている。そのため、2014年に出店してから41店まであっという間に増えた。
そして、テーブルバイキングに攻め込まれて、20年3月期第1四半期の決算で売り上げが6.1%減少した安楽亭でも、ついに自ら手掛けるようになった。9月5日、東京都足立区にオープンした「えんらく」(環七梅島店)だ。1品の量を少なくできる「ハーフモード」や「無添加」にこだわるという。回転寿司で例えると「くら寿司」の焼き肉食べ放題版のような業態である。
安楽亭はえんらくの展開でどう巻き返すのか。そして、焼き肉業界最大手「牛角」にどのような影響をもたらすのか。これからの焼き肉テーブルバイキングの動向から目が離せない。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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