事業がうまくいっても、それが長く続くとは限らない。時代に合った新事業の立ち上げや経営方針の転換ができれば、持続的な成長につながるだろう。しかし、新しい戦略を実現し、成功させるのは簡単ではない。戦略転換した企業の収益の推移を追いかける。
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郊外で車を運転していると、ロードサイドにある大手チェーンの店舗を見かける。多少の違いはあれど、看板や店舗のデザインはどこでも似たようなものになっており、短い期間で何度も変わるわけではない。
大手焼き肉チェーンの「焼肉きんぐ」は、1995年から現在に至るまで店舗の外装を何度も変えている。変化の度合いが大きいので、外装が変わった後は「同じお店なの?」と考えるお客がいそうなほどなのだ。
一般的に大手チェーンは「同じ商品・サービスを提供していると伝える」「ブランドイメージを一貫させる」という戦略から、外装計画をコロコロと変えることはない。しかし、焼肉きんぐはその逆の戦略で業績を伸ばし続けている。その狙いはどこにあるのか? 焼肉きんぐなどを運営する物語コーポレーション(愛知県豊橋市)で、全業態の開発に携わっている役員に話を聞いた。
まず、物語コーポレーションの概要について解説しよう。同社は、郊外ロードサイド型レストランを全国で488店舗展開しており、「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」「お好み焼本舗」「ゆず庵」などを運営している(18年12月末時点)。
18年6月期の売上高(連結)は521億2000万円(前期比16.8%増)、経常利益は38億6000万円(26.4%増)となっており、13期連続増収増益を実現している。売上高の半分近くを稼いでるのが200店超ある焼き肉業態であり、その中核となるのが焼肉きんぐだ。
焼肉きんぐは、お客が席で注文する食べ放題システムを採用している。食べ放題は「58品食べ放題コース」(2680円、税別、以下同)、「きんぐコース」(2980円)、「プレミアムコース」(3980円)の3コースがある。単品メニューや飲み放題コースもあり、店舗の多くは郊外にある。
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