10月に実施された消費税率の10%への引き上げ。それに伴う「駆け込み需要」と「反動減」はどの程度あったのか。帝国データバンクが11月26日、企業の見解をまとめた調査結果を発表した。
増税前の駆け込み需要について、「あった」と回答した企業は26.5%となり、全体の4分の1にとどまった。業界別にみると、家具類小売や家電・情報機器小売などの「小売」で58.7%となり、駆け込み需要があった企業の割合が最も多かった。「卸売」(34.9%)、「運輸・倉庫」(27.8%)、「建設」(27.1%)と続いた。
約6割の企業で駆け込み需要が発生した小売業では、その時期について「2019年9月頃から」(28.3%)と「税率引き上げ直前(1週間前程度)」(22.7%)が多く、増税の1カ月ほど前に駆け込み需要が集中したことが分かった。
一方、増税後の需要の反動減については、10月時点で「ある」と答えた企業は19.4%で、「ない」という回答が55.3%を占めた。「分からない」も、全体の4分の1に上った。業界別では、「小売」が53.9%と突出して高かった。「卸売」(26.8%)、「運輸・倉庫」(20.2%)と続いた。
「駆け込み需要があった」と回答した企業に絞ると、「反動減がある」と答えたのは49.4%だった。「ない」という企業は31.9%。駆け込み需要があっても、現時点で反動減が発生していない企業が約3割あった。
駆け込み需要があった企業において、反動減が起きている割合は「小売」(72.0%)が最も高く、消費者の行動の変化に影響されやすいことが分かる。「金融」(60.7%)や「卸売」(56.2%)でも高い傾向があった。一方で、「建設」は28.0%にとどまった。企業からは「反動減については思いのほか生じていない。逆に人手不足感から引き合いが増加している」というコメントもあったという。
消費税の軽減税率やキャッシュレス・ポイント還元事業、住宅ローン減税の期間延長などの政策も実施される中、現時点では反動減の発生は限定的だった。一方で、企業からは「マイナスの影響は、ポイント還元制度の終了後から顕著になると考えられる」といった意見もあったという。帝国データバンクは「政府には、一時的な需要平準化政策だけでなく、所得増加など消費の基盤となる対策を継続的に打ち出すことが求められる」と提言している。
調査は10月17〜31日にインターネットで実施。調査対象は全国の2万3731社で、有効回答企業数は1万113社。
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