「明智光秀AI」と対話したら“聖地”に行きたくなる? LINEと14自治体が観光誘客へ「謎解き」機能も

» 2019年12月17日 10時00分 公開
[ITmedia]

 戦国武将・明智光秀の活躍を描く2020年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」をきっかけに観光誘客を促進しようと、ゆかりのある自治体などが12月16日、AIチャットボット「明智光秀AI」の提供を開始した。メッセージアプリ「LINE」公式アカウント上で、明智光秀AIが利用者と対話したり、観光情報を発信したりする。関連の自治体が連携することで、ドラマの盛り上がりを地域経済の活性化につなげたい考えだ。

「明智光秀AI」では、トークも楽しめる

 明智光秀が長期間住んでいた場所があるなど、ゆかりのある14自治体が「明智光秀AI協議会」を設立。連携して運用や情報発信を行う。事務局はLINEの社内に置く。加盟自治体は、京都府福知山市、亀岡市、長岡京市、南丹市、京都市、京丹後市、岐阜県可児市、岐阜市、恵那市、土岐市、滋賀県大津市、近江八幡市の12市と、滋賀県、福井県の2県。

 明智光秀AIは、「天正10年6月13日(1582年7月2日)、山崎の戦いで敗れた戦国武将明智光秀をAIとしてよみがえらせる」というコンセプトで開発。LINEのトークによって、歴史や人物の解説、ゆかりの地にまつわる観光情報、イベント情報などを発信する。スタート時点では、約4000パターンの会話を学習しているが、利用者とのやりとりによって、「最終的には1万パターンに対応できるように改良していく」(担当者)予定だ。

ゆかりの地の観光情報などを発信

 また、20年1月以降、明智光秀に関する「謎解き」を楽しめる機能も実装する。AIが出題する問題に答えると、お勧めの観光地情報を取得できる。「岐阜編」(1〜4月)、「滋賀編」(5〜8月)、「京都編」(9〜12月)の3部作で展開。観光周遊を促進する。

 明智光秀AIには、チャットボットのシステムなどを提供するサイシードのAIチャットボット「sAI Chat(サイチャット)」を採用している。

「謎解き」の機能も

 内容については、大河ドラマの時代考証を数多く手掛ける、静岡大学の小和田哲男名誉教授が監修。「有名な割に謎だらけ」(小和田氏)という光秀の歴史背景や人物像に合った言葉選びなどをサポートする。小和田氏は「(光秀は)家臣に対して優しく、人柄にも魅力がある。その光秀が歩いたさまざまな地のお城などを観光に結び付けて、広域の取り組みによって光秀を見直すきっかけになれば」と話した。

 今後、参加自治体の連携強化も模索するという。「『大河ドラマ館』を設置した自治体は6カ所ある。各施設の広報や情報発信などで連携できるのでは」(京都府亀岡市の桂川孝裕市長)

 大河ドラマ「麒麟がくる」は、出演者だった沢尻エリカ被告の逮捕によって、放送開始が2週間延期となり、放送前から注目を浴びている。一方、ドラマのストーリーや描き方によっては、その注目度の高さがプラスに転じる可能性もある。関連する自治体が多いドラマだけに、“聖地”としての情報発信と連携がうまくいけば、観光振興の相乗効果が見込めるかもしれない。

12月16日、14自治体の代表者らが「明智光秀AI」への期待を語った

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