ファミマが“レンチンおでん”を本格導入 売り上げ減を承知で販売方法を見直した理由とは?

» 2020年01月14日 13時51分 公開
[ITmedia]

 ファミリマートがおでんの販売方法の見直しに乗り出した。レジ近くの鍋で煮込む方法以外に、人気の具材セットを電子レンジで温めて提供する方法を、一部店舗に導入。従来よりも手間のかからないやり方でおでんを売れるようにすることで、店舗の作業負担や食品ロスを軽減する狙い。

photo 新たにレンジで温めるおでんセットを販売

 鍋で仕込むおでんは、利用者からの要望も多い季節商品。冬場の集客効果などを見込める反面、「仕込みや片付けに手間がかかり、加盟店の負担が大きい」「賞味期限が短く、食品ロスが出やすい」といった問題もあった。

photo 鍋で売るおでんの具は、9時間または16時間で廃棄になってしまうものがほとんど。煮崩れやすいロールキャベツは、さらに短い6時間で廃棄になってしまうという

 そこでファミリーマートは、加盟店の負担を軽減するため、おでんの販売推奨期間を短縮。これまで8月後半〜翌年4月末までとしていたのを、19年度は5カ月短い11月末までとした。19年12月以降も販売するかは各加盟店に判断を委ねているが、新しい販売方式を導入することで、店舗の負担や食品ロスを軽減しながら、おでんの販売を継続できるようにする考えだ。

 新方式では、大根やこんにゃくなどが入った具材セットを常温保存できるパック詰めにしておき、客からの注文を受けて店員がレンジで温めて提供する。パック詰めの状態の賞味期限は180日と長く、注文を受けてから温めるため、食品ロスが発生しにくい。また、つゆや具材を鍋に足したり、大きな鍋を片付けたりする手間もかからないため、新方式に切り替えれば店舗の作業を1日1時間ほど短縮できるという。

 具材セットは4個入り(税込268円)と6個入り(税込358円)の2種類。客が好きな具材を選ぶことはできないが、「お客さまにも、これまで販売が難しかった深夜帯でもおでんを買えるようになるといったメリットがある」(ファミリーマート)としている。

photo 4個入りは大根、ちくわ、こんにゃく、さつま揚げのセット。6個入りはそこに昆布とタケノコが加わる。安全性を考慮した結果、たまごは入れられなかったという。「白滝もチリチリになってしまうので諦め、こんにゃくを入れるようにした」(同社)

 新方式を導入するかは、店舗ごとに選択可能。通常のおでんの代わりに“レンチン”おでんを売るだけでなく、従来通り鍋のおでんのみを販売したり、2つの販売方法を客足や時間帯に応じて使い分けたりすることもできるという。すでに沖縄県以外の全国で、約6000店舗が導入した。

 ファミリーマートは「新方式に切り替えることで売り上げが落ちる可能性はあるが、売り上げよりも加盟店の利益を重視したい。1〜3月は廃棄過多で利益がでないところも多いので、新方式で加盟店の負荷や食品ロスを減らすことで、利益を出せるようになれば」とコメントしている。

 同社は以前から食品ロス削減に取り組んでおり、19年4月に季節商品の一部を予約制にすると発表。同年12月のクリスマス商戦でも、ケーキやオードブルを事前予約分だけ販売する「完全予約制」を推奨していた。

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