昼は毎日外食、夜は接待に飲み会、朝は時間がなく何も食べない――。健康は気になるけど、毎日忙しく過ごすビジネスパーソンが「規則正しい、理想に近い食生活」を実行するのは不可能に近いだろう。
それでも、できるだけ健康でいるためにはどうしたらよいか、気にならない人はいないはずだ。難しいことはよく分からないし、できるはずもないけど、もしも「せめてこれだけは実践しよう」という健康情報があれば……!
20年以上食生活ジャーナリストとして活躍する、月刊誌「栄養と料理」の元編集長・佐藤達夫氏の近刊『外食もお酒もやめたくない人の「せめてこれだけ」食事術』(ウェッジ)では、そんな人々の願いを叶(かな)える「せめこれ」情報を提供する。3回目は、飲んだあとになぜつい「シメのラーメン」を食べてしまうのか、そして「から酒」がいかに胃や肝臓に負担をかけるのか、解説する。
酒宴で飲食をしたあとに摂取カロリーが足りないというケースはほとんどない(栄養素バランスが偏っているということは多々あるが)。お酒とおつまみでカロリーは十分すぎるほどとれていることがほとんど。
食欲が発生するメカニズムはかなり複雑だが、血液中のブドウ糖の量(血糖値)が大きく影響することが分かっている。血糖値が低くなると食欲が増進するし、血糖値が高くなると食欲は減退する。前回の食事から時間が経過すればするほど血糖値が低くなるので何か食べたくなる。逆に、食事前の子どもが甘味飲料などを飲むと血糖値が上がってしまうので、食事を食べたがらなくなる。
一般的に、お酒を伴う食事をすると、アルコールを肝臓で代謝する際の生理的メカニズムの結果、飲食後に血液中のブドウ糖の量が少なくなる(低血糖気味になる)ことが多い。そのため、飲食後は、食事量をたっぷりとっているにもかかわらず「空腹感」を感じて食欲がわくケースが少なくない。散々飲食をしたあとでも「シメ」を食べたくなるのはそのせいだと考えられている。
「お酒ばっかり飲んでいてあまり食べてないからお腹がすいている」と感ずるのは、明らかに脳の勘違いである。とりわけラーメンは「お酒のあとの食べ物」としてはカロリーも塩分もあまりにも高すぎる。酔いのせいで判断力が低下していることも加わって、勢いで「シメのラーメン」を食べる人が多いが、絶対におすすめできない。好ましくない習慣なのでやめよう。
食べ物としてラーメンが悪いわけではない。普段、おいしいラーメンを食べればいいのであって、酔った勢い(勘違い)で食べるのは、ラーメンにも失礼ではないだろうか……。
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