Uber Eatsに負けないために老舗の出前館はどのようなサイト改修を行っているのか競争が激化(2/2 ページ)

» 2020年01月23日 05時00分 公開
[ITmedia]
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検索上位に出てくるための施策

 出前館の強みは、利用できる店舗数の多さ・店舗網の広さだ。ガストやバーミヤンなど2万店以上ある。検索エンジンで「地域名(例えば福岡県久留米市)+デリバリー」と検索すると、出前館のサイトが上位に出てきやすい。その強みは温存しつつ、今後は、別の方面でもSEO(検索エンジン最適化)を強化しようとしている。例えば、「商品名(例えばピザ)+デリバリー」や「チェーン名(例えば吉野家)+デリバリー」といったところだ。

 これまで、出前館ではピザや寿司のオーダー数が多かった。ハレの日に親戚が集まる場で利用されていた。しかし、日本に上陸してきたウーバーイーツは、毎週食べても飽きないようなファストフードや定食チェーンとの提携を強めている。もちろんこの分野も出前館では扱っているが、利用者数を増やすためには日常食の強化が欠かせない。

 出前館は19年4〜6月にかけてサイトのトップページを“なくす”という作戦に出た。厳密には、初めて出前館のサイトを訪問した際にはトップページが出てくる。しかし、2回目以降に訪問した場合にはトップページは表示されないようになった。サイトを訪問するといきなり店舗一覧がずらりと並ぶようになっている。これは、サイトの訪問者に注文してもらう割合を高めるための工夫だという。

 鈴木氏は出前館で働く前、ファッションや日用品のECサイトを手掛けてきた。そういったサイトと出前館の違いは、購入意欲の高さだという。ファッションのECサイトでは、「いい服があれば買いたいな」くらいの気持ちの訪問者が一定数いる。しかし、出前館の場合は「お腹が減ったから、すぐに注文したい」と考える訪問者の割合が高いという。空腹になっている利用者がイライラしないように、注文が完了するまでのクリック数を少しでも減らすことなどが重要になる。

 競合に負けないため、出前館のサイト改修は着実に進んでいる。

鈴木孝知氏(プロダクト開発本部 統括本部長)
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