「非常に残念でなりません」「飲食において、お金を受け渡すことこそ一番大事な行為のはずなのに」――。すき家を利用したと思われるお客がTwitterでつぶやいた内容が注目を浴びている。
この投稿は、9000回以上リツイートされ、4000を超える「いいね」がついている(11月11日午後1時時点)。また、この投稿者は「昭和な考えが良いとは思わないんですが良き心を持っていた時代なのかなと」「近年になるにつれて日本は合理主義資本主義過ぎません?」ともコメントしている。このように言及されたすき家の新型レジ「セミセルフレジ」とはどのようなものなのか。
まず、お客はカウンターやテーブルで商品を注文し、料理や伝票を受け取る。食事が終わったら、伝票を持ってレジまで移動する。店員に伝票を渡すと、ディスプレイに支払う代金が表示される。お客は店員にお金を渡すのではなく、投入口に硬貨や紙幣を入れる。
すき家は、2017年7月に一部店舗で実験的にセミセルフレジを導入した。すると、多くの効果が確認できた。そこで、ほぼ全ての店舗への導入を目指している。
記者は19年6月頃にセミセルフレジを導入した店舗を取材したことがある。取材した店舗には2台のセミセルフレジが並んでおり、1人で2台を同時に操作できるようになっていた。担当者によると「混雑時にお客がレジで待つ時間が減った」「レジからお釣りを出してお客に渡す手間が省けた」といったメリットがあるという。
また、ランチタイムには商品をテークアウトするお客が多く、1人の店員が商品を渡し、別の店員がレジを担当しなければいけないことがあった。しかし、セミセルフレジを導入することで、これらの業務を1人でこなせるようになったという。さらに、つり銭を間違う心配もなくなった。
こうしてみると、投稿者が指摘するように「お金の受け渡し」というタスクが減った一方で「お客を待たせない」「つり銭を間違えない」といったメリットが発生している。また「メニューを聞く」といった接客行為は依然として残っている。すき家を運営するゼンショーホールディングスの広報担当者も「接客を大事にしている姿勢に変わりはありません」と強調する。
同じ大手牛丼チェーンでも、吉野家は現金の受け渡しを直接行うことにこだわっている。一方、松屋はほぼ全店で券売機を導入している。牛丼チェーンにより多くの接客行為を求めるお客は吉野家に、それ以外の利便性を求めるお客は別のチェーンに、という流れは、今後、強まっていくのだろうか。
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