サービス提供者に犠牲を強いる「おもてなし」というブラック労働の素(1/3 ページ)

» 2020年01月31日 15時17分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた)

株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。


 新型肺炎が猛威を振るう中でも接客しなければならないサービス業界。ドタキャンどころか無断キャンで何十万もの損害を出す宿泊業界。マスクしたり、違約金や前払いなど、「お客様に迷惑」をかけるのは気が引けるとのこと。東京オリンピック誘致で世界に宣伝した「おもてなし」の心はブラック労働につながっていないでしょうか。

無断キャンで数十万円の損害

 ホテルやレストランなどでの無断キャンセルがたびたびニュースでも取り上げられます。予約に基づいて何十人分もの食材を仕入れ、当日は席も確保したにもかかわらず、予約時間になっても誰も現れず、予約者に電話しても使われていなかったり、通じないため、店側は全損害を泣き寝入りすることになります。

 インターネットで予約が簡単になり、スマホで即座に予約は完了できる店もたくさんあります。「相手の好みがわからない時に複数ジャンルの店を予約しておき、スマートに当日選べる」などといったヨタ情報をツイートした人は炎上するなど、一定の良識はあるかもしれません。一方で開店日に貸し切り予約が入ったが結局誰も現れなかったなどのニュースはけっこうよく見ます。

 ノーショーとも呼ぶようですが、この手の無断キャンにおいてよくある声に、「キャンセル料を請求しろ」「外国のようにクレジットカードで事前決済すべき」などがあります。私も同意ですが、それに対し店側からは「お客様に負担がかかる」「迷惑かけたくない」という反応があります。

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