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» 2020年04月20日 06時45分 公開

KAMIYAMA Reports:新興国市場のストレスは国で異なる (2/2)

[神山直樹,日興アセットマネジメント]
日興アセットマネジメント
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トルコやインドネシアの債券利回りの変化は安定

 債券については、利回り変化幅(%ポイント)の標準偏差をボラティリティとする(それゆえ株式や商品とは異なる)と、新興国でもメキシコのように大きなストレスを受けている国がある一方、もともとボラティリティが高いギリシャやトルコ、インドネシアなど、普段の水準との乖離はそれほど目立たない。メキシコは、株式市場でもっとも大きなストレスを受けている米国と経済的関係が深く、米国での労働者の環境悪化や米国への輸出停滞に加え、産油国間との減産合意にも関わるなど、ストレスを受けやすい。

国債のストレスの度合い(ボラティリティ比)

 米国も、普段との比較で利回り変動は2〜3倍と高く、ストレスを受けていると考えられる。しかし、FRBは相次いで金融システムと市場を落ち着かせる政策を打ち出している。4月9日には2.3兆米ドル規模の銀行ローンやハイイールド市場に対する支援策を打ち出した。

 債券利回りでみても、ストレスの度合いは、新興国か先進国かの区別よりも、その国の状況によって異なることがわかる。3月16日にニュージーランド準備銀行はFRBの利下げに追随して緊急利下げを行い、行動制限による需要減に懸念を示した。

 ブラジルやロシアは、原油価格のストレスがかかりやすいようだ。インドネシアやトルコが普段とあまり変わっていないことと比較すると、国により異なることは明確だ。新興国という「ひとまとめ」では理解が難しいだろう。

新興国市場投資でも投資の目的に立ち返る

 BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)などと投資対象をまとめて考えていた時期もあるが、今となっては、国ごとの違いが大変大きくなっていることに注意が必要だ。

 金融市場としては中国の比率が大きいので、中国と他の国とを区別するほうが良い。中国は、計画経済的であることから景気サイクルが他の国・地域と異なりやすい。また、資源国であるロシア・ブラジルと農業・加工貿易国であるインド・中国とでは、ストレスの原因が異なることが多い。特に、インドは農業の比率が高いため、モンスーンなどの気象状況によって景気サイクルが影響を受けやすい。

 市場のストレスの観点からは、新興国市場をひとまとめにするのではなく、個々に事情が異なると考えるべきであることが分かる。では、新興国投資とはなんなのか。先進国とは異なり、まだ発展余地が大きい途上国の中から、特に経済の発展が顕著な国・地域を選んで投資し、通貨や株価の上昇を長期的に獲得しようとすることだろう。それゆえ、プロの目で投資対象を不断に見直すことが重要な意味を持つといえそうだ。リスクの高い新興国投資について、投資家は適切に運用される商品に資金を投入しているかをチェックするタイミングかもしれない。

筆者:神山直樹(かみやまなおき)

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト。長年、投資戦略やファイナンス理論に関わってきた経験をもとに、投資の参考となるテーマを取り上げます。

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