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» 2020年04月20日 06時45分 公開

KAMIYAMA Reports:新興国市場のストレスは国で異なる (1/2)

新型コロナウイルスの感染防止のための行動制限等により消費が蒸発したことなどから、世界の金融市場は大きなストレスを受けている。ただし、国・地域によりその度合いは異なり、先進国より新興国のストレスが高いとは限らない。

[神山直樹,日興アセットマネジメント]
日興アセットマネジメント

 新型コロナウイルスの感染防止のための行動制限等により消費が蒸発したことなどから、世界の金融市場は大きなストレスを受けている。ただし、国・地域によりその度合いは異なり、先進国より新興国のストレスが高いとは限らない。

 ここでは、ストレスの度合いをボラティリティで計り、2008年初から最近までの期間(以下、普段という)と最近20日間を比較してみる(図)。見方は倍率(縦軸)が高いほどストレスがかかっている、と考える(最近20日間÷普段)。

株式・商品・為替のストレスの度合い(ボラティリティ比)

 グラフでは、横軸で右に進むほど普段からボラティリティが高い市場だ。原油や小麦、ブラジル株式などは普段からボラティリティが高い。縦軸は上にいくほど、通常より最近20日間のボラティリティが高くストレスが高いとみる。

 まず株式と商品を比べてみる。株式でストレスが高い市場の代表が、米国株式(NYダウ工業株30種)だ。また、感染拡大防止策による需要減少とOPEC(石油輸出国機構)など産油国間での協調減産が容易ではないことから、普段から原油(WTI)は強いストレスにさらされ、かつボラティリティは高くなっている。原油とともに商品価格と連動しやすい先進国のオーストラリア株式(S&P/ASX200)や新興国のブラジル株式(ボベスパ)は、日本株式(日経平均株価)よりもストレスがかかっている。一方で、新興国とはいえ中国株式(上海A株)は、最近20日間と普段とのボラティリティの比が1倍に近く、普段とあまり変わらない。

 対円の為替を比較すると、米国で働く労働者の送金に影響され、かつ産油国の通貨であるメキシコ・ペソや、同じく産油国のノルウェー・クローネはストレスが高いようだ。しかし、産油国でもあるブラジル・レアルは、株式(ボベスパ)と異なり、普段の状態とあまり変わらない。もともとボラティリティが高いトルコ・リラも、普段との比較で1倍に近く、ストレスのレベルは米ドルなどと大きく違わないようだ。

 為替は総じて株式や商品よりも安定している。米ドルが安定している間は、米ドルの負債が多いとされる新興国の金融システムも安定しているとみなされているようだ。もちろん、FRB(米連邦準備制度理事会)も米ドルの負債が多い新興国の安定にも配慮して、資金を潤沢に市場に提供している。

 コロナ・ショックだけでなく、原油の供給過剰リスクが世界の資本市場にストレスを与えており、原油を含む商品市場に関連が深い国の株式市場のストレスがより高い。つまり、これまでのところ、市場のストレスは、感染者の急増で行動制限が強化されることによる需要の急減に見舞われ、原油価格の下落に脆弱であるとみなされるほど、高くなっているようだ。「新興国は脆弱だ」と、市場がひとまとめにみているのではないことに注意しておきたい。

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