新型コロナウイルスの流行で自粛期間が長引く中、人と人を結び付けるネットワークサービスにも変化が現れている。とりわけ顕著なのが、オンライン会議システムを用いて従来のシステムを発展させたサービスだ。ZoomをはじめURLの発行で手軽にオンラインで話ができることが周知されたことで、カメラを通じたコミュニケーションに対するハードルが下がっている。
シニア向けコミュニティーサイト「趣味人倶楽部」は35万人が登録するサービスだ。新型コロナウイルスが流行する前は、毎月1600件ものオフラインイベントが開催されていた人気コミュニティーだったが、オフラインイベントを自粛せねばならない中、オンラインでのイベントへと軸足が移りつつあるという。
企業のリファラル採用を支援するサービス「MyRefer」もオフラインイベントのサポート機能を追加。いわゆる「オンライン飲み会」を企業側がサポートすることで、社員とその周辺コミュニティーの活性化を促す意図がある。
親子に目を向けたオンラインサービスも、今回の新型コロナウイルス流行で注目を浴びている。Asovivit(アソビビット)はZOOMを用いて、体操や英語、お絵かき、クイズ、ゲーム等幅広いテーマからコンテンツを選び、30分500円からオンラインで遊びながら学習できるサービスだ。
オースタンスが運営する「趣味人倶楽部」は、35万人が登録する主にシニア層の“趣味人”が集まるソーシャルネットワークサービスだ。多様な趣味を楽しむアクティブシニアたちが、時間や場所といった制約を超えてコミュニケーションする場として、DeNAが開発・運営していたが、2019年5月にシニア向けのアーティスト支援などを手掛けていた平均年齢20代後半という若いオースタンスに事業譲渡された。
オースタンスで広報を担当する佐藤璃子氏は「もともと“私の好きが世界を動かす”というコンセプトで立ち上げたベンチャーでしたが、年配の世代にエネルギッシュで新たな感性をもたらしてくれる人たちがいることに気付き、(自分たちの世代だけではなく)シニア世代の持つエネルギーを事業の中心に据えようと考えた」と話す。
趣味人倶楽部のサービス設計はmixiに近い。実際に筆者も参加してみたが、近年のSNSにあるようなタイムラインに情報が流れていくスピード感はないものの、落ち着いた雰囲気の中で特定の趣味を持つもの同士が緩やかな連帯を作っている。
サービス名からも想像されるように、趣味ごとのサークル活動は非常に活発。前述した通り、新型コロナウイルスの影響を受ける前までは、毎月1600件以上のイベントが開催されていた。
同社が博報堂と共同で実施した調査によると、新型コロナウイルスの流行以降、オンラインサービスの利用率がシニア層でも大幅に高まり、テレビに次ぐメディア、情報源になっているほか、映像配信サービスの利用率なども向上しているという結果が出ている。
こうした状況を背景に4月10日に始めたのが、オンラインでのミーティングイベントを募集可能にするサービスだった。
趣味人倶楽部には以前からイベント告知の機能があったが、告知フォームにオンライン会議のURLを入力可能とした。告知に対して参加が認められたメンバーにのみ、発行されたURLが見える。
開始直後はオンライン会議でのイベント、サークル活動に及び腰のユーザーが多かったようだが、オンライン飲み会などの話題が広がるにつれ増加し、開始3週間でおよそ40件のオンライン会議が開催されるようになったという。
これまでの趣味人倶楽部は、オンラインで地域を超えたコミュニティーが形成されながらも、イベントはオフラインが中心だった。ところがオンラインイベントとなり、これまで顔を合わせなかった遠方の仲間もイベントに参加可能となり交流の幅が広がっていると佐藤氏は話す。
「ネット麻雀会やオンライン飲み会、鎌倉検定一級のメンバーが解説する歴史の会のほか、パソコンにマイクをつなぐ形でオンラインカラオケ大会なども開催されています(佐藤氏)」
4月中の参加人数はトータル1000人を超え、さらにイベントの数は増加中。とりわけカラオケ大会の開催数は急増しているようだ。
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