中国EV大手のBYDは4月、米カリフォルニア州と10億ドル(約1100億円)に上る医療用マスク供給契約を締結。しかし、同州が求める米国労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health、以下NIOSH)の「N95」認証が取れず、契約キャンセルと返金の危機にあった。この問題について、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム州知事は6月8日(現地時間)、BYDのマスクがNIOSHのN95認証を取得したため、数日内に同州に1億5000万枚のマスクが届くと発表した(リンク)。
BYDは元々自動車メーカーだが、中国で新型コロナウイルスが拡大する中で、医療用マスク製造に進出。現在では1日5000万枚を生産できるようになり、ソフトバンクの孫正義会長兼社長も同社から月に3億枚のマスクを調達し、日本に無利益で供給すると表明している。
だが5月上旬、BYDのマスクがNIOSH認証を取れないため、カリフォルニア州への納品が遅れており、返金を求められていることが明らかになった。ウォール・ストリート・ジャーナルが5月13日、NIOSHがBYDの申請を却下したと報じると、日本でもBYDのマスクの品質への疑義が噴出し、孫正義氏らへの批判も殺到した。
一方BYDは、「申請が却下されたのは、品質ではなく書類上の不備があったため。再申請を行う」と声明を出し、5月20日に2度目の申請を行っていた。中国メディアによると、BYDは6月7日午後にNIOSHからN95認証を取得したとの連絡を受け、カリフォルニア州向けの生産を開始したという。
カリフォルニア州のギャビンニュースム知事は8日、BYDマスクの供給は「私たちの州の公共の安全と経済再開に重要な役割を果たすだろう」と歓迎する声明を出した。
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