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» 2020年06月18日 07時00分 公開

中国の“嫌がらせ”を受けるオーストラリアに、コロナ後の商機を見いだせる理由世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

[山田敏弘,ITmedia]

買収・投資でオーストラリアに侵食

 オーストラリアと中国は経済的なつながりも深く、関係は悪くなかった。もちろん水面下ではいろいろな駆け引きはあったが、両者の関係が表面的にも悪くなりだしたきっかけの一つは、2016年までに大きくなっていた南シナ海問題だった。16年当時、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海での中国の海洋進出を巡り、国連海洋法条約に基づいて、中国が主権を主張する独自の境界線「九段線」に国際法上の根拠がないと認定。中国が南シナ海に強引に造成した人工島は、「島」だと認めることすらしなかった。

 さらに17年になると、オーストラリア国内で中国が異常な活動をしているという疑惑が明らかになり、両国関係がさらにギスギスするようになった。大きな話題となったのが、中国政府によるオーストラリアへの内政干渉工作だった。中国人留学生を使ったスパイ工作や、政治家へのひそかな献金、中国人による土地買収の強化などの行為が問題視されるようになっていった。

 オーストラリアは、全土の2.3%を中国企業が所有しているとも言われている。また10年ほど前から、中国はカネに物を言わせて、オーストラリア企業の買収や投資をし、それに1500億オーストラリアドルが費やされているという。

 さらにオーストラリアの基幹インフラにまで手を出そうとした。15年には北部準州が、ダーウィン港の管理権を中国企業に99年間貸与する契約を結び、大変な論争を引き起こした。有事などの際に港がどう中国側に使われるか分からないという懸念が上がったのである。また16年には最大都市シドニーなどに送電する電力公社オースグリッドについて、中国国営企業などが買収を試みたのだが、さすがに政府が安全保障上の懸念があるとして売却を阻止したこともある。

 少なくとも、中国がオーストラリアを乗っ取る勢いであったことは間違いない。中国は、オーストラリアで影響力を強めて親中にすることで、南シナ海問題でも自分たちが優位に立てると考えている。ちなみに中国のこうした動きは、インフラ投資という名で今まさにバヌアツやフィジーでも起きている。バヌアツのラルフ・レゲンバヌ外相は悪びれることなく、中国からの多額の投資の見返りに、国連で中国寄りの投票を求められていると暴露している。

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