米国の新型コロナ“急拡大”で迫りくる「中国復活」の脅威世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

» 2020年03月12日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 新型コロナウイルス(COVID-19)による混乱が収まる気配がない。

 日本では、テレワークをしているビジネスパーソンが増えていることで、通勤時間の電車など交通機関も普段より人は少ない。ビジネス関係のカンファレンスやイベントなどもほとんどが中止になっている。先日話を聞いた企業では、クライアントなどを集めたカンファレンスを中止にしたが、海外から呼ぶ予定だったスピーカーらの来日を急きょキャンセルするなど大変な事態になっていたという。

 経済的な打撃も明らかになりつつある。イベントや展示会はさることながら、新学期や入社の準備などでも経済活動に影響が広がっている。また、例えば世界でビジネスを展開するトヨタ自動車は、2月の中国での新車販売台数が前年同月比70%以上も落ち込んだという。毎日新聞(3月4日付)によれば、「下げ幅は尖閣諸島国有化の影響で販売が落ち込んだ2012年9月(同約48%減)を上回り、近年では最大」だという。

 とはいえ、ウイルスの発生源である中国は抑制方向にあり、日本もまた予断は許さないが、当初のパニックに比べて多少は落ち着いてきているように感じる。その一方で、感染者は世界的に広がっており、特にイランやイタリア、フランス、ドイツ、スペインなどは感染者数がまだ増えていきそうだと見られている。

日本と経済的な関係が深い米国で感染が広がると、どうなってしまうのか

 そして今、世界の経済にさらなる影響を与えかねない、新型コロナウイルスの次なるウエーブが米国から来そうな気配がある。米国では今、急激に感染が拡大しており、感染経路が分からないケースも少なくない。つまり、対策もままならない状態になりつつある。そしてワシントン州やカリフォルニア州、フロリダ州、オレゴン州、ニューヨーク州、メリーランド州などが次々と非常事態宣言を出している。

 日本はすでに経済的な打撃を受けているが、米国で感染者数がどんどん増えれば、さらなる経済的な打撃の波が押し寄せることになる。日米は世界中の経済活動の3割ほどを占めており、日本の輸出の19.0%、輸入の10.9%を米国が占めている(2018年)。そんな関係にある米国の状況をしっかりと把握し、警戒しておく必要があるだろう。

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