米国の新型コロナ“急拡大”で迫りくる「中国復活」の脅威世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2020年03月12日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

恐怖心や買いだめ……米国人に聞いた“今”の状況

 では米国人は現状をどんなふうに捉えているのか。先日、筆者は知人の大学関係者に話を聞いた。「今、ニュースでも新型コロナウイルスの話ばかりで多くの人が恐怖を感じている。私の周りでも、水やトイレットペーパーをみんな余分に買いだめしており、それがまたニュースになって混乱をさらに深めている。手の除菌用ローションを大量買いしている人もいるし、明らかに転売しようとしている」

 また観光地であるラスベガスに住む知人の女性もこう話している。「今週くらいから観光客の数は少し減っているように感じているが、まだビジネス系のイベントなどはやっているわ。ただ建設関係の企業に勤める友人は、自身が参加登録した3月10〜14日に開催予定のコン・エキスポ(建設機器の展示会)が中止することなく行われているが、参加予定だった関係者の多くが自主的にキャンセルしていると言っていたわね」

 ラスベガスはカンファレンスやイベントのメッカであり、年間660万人がそうしたイベントに訪れる。ラスベガスを訪れる人の2割は外国人。またカジノへ遊びに来る中国人にはハイローラー(大金を賭ける人)が多く、多額の金を落としていく上客として知られている。入国禁止措置などで彼らがカジノに来られないのは、カジノ側にも大打撃である。

米ラスベガスは観光地であり、カンファレンスやイベントも多い

 この知人女性によれば、ラスベガスではホテルのダンサーや清掃係、カードゲームのディーラーなどが戦々恐々としているという。観光客と直接接したり、宿泊客の部屋に出入りする従業員の多くは、自分たちがいつ感染してもおかしくないと考えている。だからといって仕事を休んだら、すぐに生活ができなくなるため、危険と隣り合わせで働かなくてはならない。

 さらに彼女は、娘の学校から呼び出されて州外や国外への旅行は控えるよう説明を受けたという。米国も流行を起こさないように、一応対策を始めていることが分かる。だが毎日、感染者数は各地で増え続けており、今後も増えると見る人は多い。

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