新型コロナでデマ拡散「インフォデミック」に踊らされない“リテラシー”とは世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

» 2020年02月27日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 新型コロナウイルスCOVID-19の猛威が止まらない。

 日本でも毎日のように感染者や死者が増えているが、お隣の韓国やイタリア、イランなどでは感染者数が急増していると報じられている。コロナウイルスは着実に世界に広がっている。

 このウイルスについては当初から、武漢にある「武漢ウイルス研究所」から漏れた、または流出したものであり、人工的な「バイオ兵器」であるとの見方が報じられた。

 米情報機関関係者も、筆者の取材に「人民解放軍が関わるウイルス研究所は最初に感染が広がった地域にある」と、その研究所に原因があるかのように示唆し、少なくとも米国などはその「方向」でメディアなどに情報を「提供」していると語っていた。感染源についての事実よりも、甚大な被害を引き起こしている現状に乗っかって中国の評判をおとしめる目的がちらついている。

 こうした情報に対し、医学誌「ランセット」は、科学者27人の声明を掲載、新型コロナウイルスが研究所などで人工的に作られたものではないと主張している。陰謀論の蔓延に、たまりかねたWHOも、これらは「インフォデミック」(SNSやWebでの情報の“大流行”)であると主張し、警戒を呼びかける事態になった。こうした「偽情報の大流行」により情報が錯綜し、今回の騒動をさらに悪化させているといえる。

中国や日本のほか、韓国、イタリア、中東などでも感染が広がっている。写真はイラク(写真:ロイター)

 こうした情報による混乱は、アジア人差別を引き起こしてビジネスに支障が出たり、世界的に経済が滞ったりするなど、ビジネスパーソンにとっても無関係ではない。SNSの時代に間違った情報に惑わされないようにすることは、現代のビジネスパーソンにとって重要な能力となる。

 とにかく、かなり情報戦が繰り広げられている新型コロナウイルス。今回は、その実態に迫るとともに、こうした情報に惑わされずに済む方法を探ってみたい。

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