新型コロナでデマ拡散「インフォデミック」に踊らされない“リテラシー”とは世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2020年02月27日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

SNSで拡散されやすい、恐怖や不快感

 こうした情報以外にも、フェイク情報は大量に出回っている。例えば、1月の段階で10万人の感染者が世界で確認されているとの情報が広まったり、すでにコロナウイルスのワクチンが開発されていて今回の感染拡大は商売目的であるとの話や、新型コロナウイルスにより世界で6500万人の死者が予想されているなど、だ。米人気投稿サイトのReddit(レディット)でも陰謀論があふれんばかりに飛び交っている。

 現代では、こうした情報はすぐにSNSなどで拡散される。特に今回は、感染源である中国で情報が厳しく統制されていることも、それに拍車を掛けている。これほどSNSが普及している中でウイルスが世界的に流行したのは初めてであり、だからこそWHOは、偽情報の「大流行」という意味でインフォデミックに警鐘を鳴らしているのだ。

 2018年に米サイエンス誌に掲載されたMIT(マサチューセッツ工科大学)の研究では、「間違ったニュースは、ニュースそのものよりも、Twitterの投稿の方が早く拡散されやすい」と指摘している。その理由は、真実ではない発言が恐怖や不快感、驚きなど強力な感情を刺激する可能性があるからだという。

新型コロナウイルスに関して、多種多様な情報が報じられ、拡散されている(写真:ロイター)

 筆者もSNSなどは黎明期からウォッチしてきたが、やはり伝言ゲームのようになりがちなTwitterは、情報が一人歩きすることが少なくない。また多くの人が、ツイートなどの元になっている情報源を確認しない。これは決してSNSサービス側が悪いのではなく、ユーザーがそういうプラットフォームであることを理解して付き合っていく必要がある。

 では私たちはどんな対策が取れるのか。WHOはウイルスそのものだけでなく、こうしたインフォデミックとも戦っている。そして「EPI-WIN(伝染病情報ネットワーク)」というサイトを立ち上げて、ちまたで出回っている怪しい情報に対するQ&Aを提供している。また、新型コロナウイルスについて学べるコーナー「COVID-19 FAQs」もあり、予防法や旅行のアドバイスも読める。

 今回の新型コロナウイルスに限らず、フェイクニュースに対峙するのに必要なのは次のようなことだ。

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