中国の“嫌がらせ”を受けるオーストラリアに、コロナ後の商機を見いだせる理由世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

» 2020年06月18日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

「新型コロナ発生の責任」を否定し続ける中国

 現在、中国は「新型コロナウイルスの発生源である」という世界的なイメージに過激なほどの反論を続けている。例えば、世界中でTwitterなどを駆使し、新型コロナの感染拡大について中国の責任を転嫁するようなプロパガンダを行っている。在日中国大使館も、5月に「COVID-19ウイルスについて米国による24のうそとその真相」という5回シリーズの動画をTwitterで掲載している。世界中の大使館関係者やプロパガンダ要員などが中国の主張を拡散させている。

 もちろん今のところ、新型コロナがどう発生したのか明確には分かっておらず、誰も100%正確なことは言えない状況ではある(もし誰かが真実を知っているにしてもそれが表には出ることは当面ないだろう)。要は、突っ込みどころの多い中国の言い分ですら100%間違っているとは今のところ言えないのが、新型コロナをめぐる情報を扱う際の難しさである。

 とにかく、中国の対外イメージが低下しているのは間違いなく、それは中国の情報関連機関も認めている。中国政府系のシンクタンク、中国現代国際関係研究院では、新型コロナによって、中国に対する敵意が1989年の天安門事件以降で最も高まっていると分析している。中国はそれを何とか改善したいと考えているのである。

中国は対外イメージの改善を求めている

 オーストラリアは4月に国際社会に向けて独自調査を求めたことで、その中国の「地雷」を踏んだわけだが、もちろん全てを見据えた上での動きだと見る人は多い。なぜなら、これまでも、両国間にはさまざまな衝突があった。実のところ、オーストラリアによる中国に対する不信感はかなり根深い。

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