オンラインカジノに移行へ コロナ禍で存続の危機に立たされる世界のギャンブルビジネスコロナ禍のカジノ事情「海外編」(2/3 ページ)

» 2020年06月18日 20時00分 公開
[中西享ITmedia]

韓国は4月に再開

 韓国は終息が早かったため、ソウル、プサン、済州島などでカジノを展開しているパラダイスが4月20日から営業を再開した。韓国には現在17カ所のカジノ施設があり、このうち16カ所が外国人専用だが、3月にはコロナ感染拡大を防ぐため全て閉鎖された。この結果、『カジノIRジャパン』によると、パラダイスの4月のカジノ収益は前年同期比で86%減少の79億ウォン(約7億円)にまで落ち込んだ。

 パラダイスは感染を防止するため、赤外線カメラ設置による検温、施設内でのマスク着用の義務付け、感染が疑われる人の入場制限、施設内の消毒、清掃の徹底などを実施している。

 韓国ではどのカジノ施設も日本人専用のスタッフが常駐し、言葉に不自由なく楽しめるようになっていて、最近は日本人も増えていたという。だが、今回のコロナ禍でカジノ施設はイメージダウンになったようで、元通りの観光客が戻るかどうかは不透明だ。

photo パラダイス・セガサミーが運営する施設(韓国・仁川)

マカオは再開、シンガポールは営業停止

 中国の南西部に位置するマカオは中国本土の終息が早かったことから、『カジノIRジャパン』によると、2月5日から19日まで営業を2週間停止し、20日から再開に踏み切った。しかし、5月8日付けの『朝日新聞デジタル』によると、「外国人の渡航制限や厳しい営業規制により、4月の売上高も全体で前年同月比95%減少したとみられ、1日当たりのマカオ来訪者数は、1年前は10万人を超えていたが現状は200人程度だ」と伝えている。

 昨年のマカオ来訪者数は約3900万人で、その7割が中国人で、日本人は数万人ほど訪れていた。5月に入って少しずつ客足は戻っては来ているものの、外国人は欧米でのコロナ禍の終息が見通せないことから激減したままだという。

 マカオは中国の特別行政区で、カジノに代表されるギャンブルで潤っている観光都市だ。人口67万人の3分の2がカジノに関連する仕事に就いていて、中国本土にとっては外国人がマカオのカジノを楽しんでくれることで外貨を合法的に吸い上げることができる。

photo マカオの施設

 シンガポールには大規模なカジノ施設を含むIRがマリーナ・ベイ・サンズとリゾートワールドセントーサの2カ所にある。運営しているのは米国のサンズとマレーシア資本のゲンティンの2社で、日本のカジノ構想のモデルとされる。日本人観光客も多く、東南アジアでの観光名所になっている。ここもコロナ感染拡大により、4月7日から営業停止となっている。その後、外出規制は緩和されたものの、カジノの営業再開のメドは立っていない。

モナコは室外のみ再開

 フランス南東部に位置し、イタリアとの国境近くにある小国モナコ公国は、元首アルベール2世公が3月に新型コロナウイルスに感染したこともあって、カジノ施設は同月から閉鎖されていた。

 しかし、感染が終息に向かっていることから、5月21日付けの『ギャラクシー・エンタテイメント・ジャパン』によると、モンテカルロ・ソシエテ・デ・バン・ドゥ・メール(モンテカルロSBM)のジャン=リュック・ビアモンティ最高経営責任者(CEO)は、モナコは近隣諸国と比べてコロナ禍の影響は小さかったことから、「6月上旬からの屋外テラスなど一部のオープンエア施設から再開する予定」と話している。

 十分な感染対策を導入することにより段階的に再開し、何とか観光客を呼び戻したいようで、1日も早く全面再開をしたいところだ。しかし、室内での営業再開については決まっていない。

 感染対策としては、ソーシャルディスタンス確保のため、4平方メートルあたり最大1人、行列やエレベーターでは最小1.5メートルの距離を確保。施設入口では入場制限を行い、ゲストやスタッフへの検温を実施し、清掃・消毒・マスク着用を徹底するなどとしている。

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