新型コロナの影響を大きく受けたホテル、次の課題は?ただの「宿泊施設」(2/4 ページ)

» 2020年06月27日 07時11分 公開
[藤井薫ITmedia]

非接触型のサービスがスタンダードに

 まず、コロナ後に大きく変わりそうなのは、非接触型のサービスがスタンダードになりそうなことだ。例えば、チェックインの手続き。今までは、宿泊客はフロントデスクでチェックインの手続きを行い、部屋の鍵を受け取るのが当たり前だったが、そのプロセスがなくなっていく可能性がある。

 あらかじめ、アプリをダウンロードする必要があるが、宿泊客は自分のスマートフォンを使ってオンラインでチェックインを済ます。そして、フロントデスクに立ち寄ることなく、スマホのBluetooth機能を使って直接部屋の鍵を開けることができるようになる。

 これは、「デジタルキー」というテクノロジーで、すでに一部のホテルで導入されているものだ。ヒルトン、マリオット・インターナショナル、MGM リゾーツやディズニー・ホテルズなど、大手ホテルグループで採用されているが、ホテル業界全体からすると導入率はまだ低く10%ほどだという。

 デジタルキーの導入は、さまざまなメリットがある。宿泊客にとっては、チェックイン時の長い列に並ばずに済むし、長旅で疲れていても部屋に直行してすぐに休むことができる。

今後のホテル、「非接触」がキーワードになりそう(画像はイメージです。出典:ロイター)

 ホテル側にしても、カードキーとして利用されるプラスチックカードの使用量を削減でき、エコでもあるし、コストカットというメリットもある。さらに、宿泊客自身のスマホであれば、カードキーのように頻繁に紛失することも少なくなりそうだ。

 もちろん、新型コロナの感染予防対策としても、フロントデスクでの接触機会が減るメリットは大きいだろう。どんなに従業員がマスクを着用したり、消毒を徹底していても、宿泊客の中には同様の対策をしていない人もいるはずだからだ。それだけではなく、フロントデスクでの事務作業が軽減されることで、スタッフがよりゲストサービスにフォーカスできる、というメリットもあるようだ。

 このほかにも、スマートフォンを利用した非接触型のサービスは、ゲストルームでも活用できる。テレビのチャンネルを変えたり、ルームサービスをリクエストしたりすることもスマホから行える。そうなれば、衛生的に心配な備え付けのリモコンや電話に触れる必要さえなくなるだろう。

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