新型コロナの影響を大きく受けたホテル、次の課題は?ただの「宿泊施設」(3/4 ページ)

» 2020年06月27日 07時11分 公開
[藤井薫ITmedia]

クリーンネスの基準が変わる

 次に、変わっていくのが、クリーンネス(清潔度)の基準だ。清潔であることは、ホテル業界が重視しているサービスだが、新型コロナ感染予防対策としてより基準が厳しくなっている。特に、大手ホテルグループは、いかに感染予防対策をしているかアピールするために必死だ。宿泊客により安心感を与えるために、医療機関と組んで対策を行っているところもある。

 例えば、ヒルトンは全米トップの医療機関として名高い、Mayo Clinic(メイヨークリニック)から指導を受けている。さらに、除菌製品で有名なブランド「Lysol(ライゾール)」とコラボレーションするなど、対策に積極的だ。また、インターコンチネンタル ホテルズ グループも同様に、有名な医療機関のCleveland Clinic(クリーブランドクリニック)と提携して、従業員への教育や、ホテル独自の感染予防対策を講じている。

 ほかにも、多くのホテルで行っている感染予防対策は、ゲストルームからアメニティーなどを撤去することだ。レターセットやメモ帳、ミニバー(スナック類やグラスなどの食器類)、バスローブ、予備の寝具などが、一時的に提供されなくなっている。

 不特定多数の人々が行き交うパブリックエリアでも、さまざまな感染予防対策がとられている。例えば、手を触れることが多い場所を頻繁に清掃したり、ロビーに設置されいる家具を撤去したり、配置を変えるなどしている。

 まだプールやジムが利用できるホテルは少ないだろうが、プールサイドに置かれているビーチ・チェアのクッションまで取り外すなど、徹底した対策を行っているホテルもある。どうしてもジムを利用したい宿泊客のために、個別にジムが利用できるプライベートな部屋を用意しているホテルもあるようだ。

 ホテルのゲストルームの清掃に関しても、より丁寧になっている。よく手で触れる場所を特に念入りに除菌することはもちろん、全体的に通常より時間をかけて清掃を行っているという。

 コロナ禍によって設けられた新たな業界の基準では、部屋の清掃を終えてから、次に利用できるようにするまで最低でも24時間空けるように指導している。一部のホテルでは、清掃後に72時間使用しないように、独自基準を設けているところもある。

 さらに、宿泊客が滞在期間中のハウスキーピングは、リクエストがあった場合のみ、提供するようにするホテルもある。

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