本当にAppleは“悪者”なのか 「フォートナイト」開発元の”宣戦布告”に覚える違和感本田雅一の時事想々(4/4 ページ)

» 2020年08月19日 16時00分 公開
[本田雅一ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

それでも、Epic Gamesの戦いに正義はあるのか?

 もっとも「問題はそこではない」と主張したいゲームファンもいるだろう。

 アプリの販売ならばまだしも、単なるデジタルデータをゲームにダウンロードさせるだけならば、コストは本当にわずかな金額にしかならない。追加アイテムは配信時にかかるデータ量も少ないため、プラットフォーム側にはほとんどコストが掛からない。それにもかかわらず、一般的なクレジットカード手数料の10倍近いマージンを取り続けるのは不当ではないのか。

 しかしながら、Fortniteのような無料で遊べるゲームの場合、追加アイテムなどの売り上げが計上できなくなると、配信プラットフォーム側への収入がゼロになってしまう。通常の買い切り型アプリとの公平性を考えるならば、追加で発生したコストも含めて統一せねばならない。

 もっとも、App Store、Google Playともにそのビジネスモデルはメガヒットゲームを基準に作られているわけではない。Fortniteのような最大級のヒット作と、数百円で月に数100本売れる規模のアプリを同列に扱っている部分に、交渉の余地はあるかもしれない。

 アプリ調査会社のSensorTowerによると、iPhone向けFortniteは今年7月だけで新たに200万件もダウンロードされ、3400万ドルの売り上げが計上されていた。売り上げが多い月は4000万ドルを超えることもある。仮に4000万ドルならば、1200万ドルがAppleの収入になる。

 こうして実際の数字になれば、予想以上の金額になると感じる方もいるかもしれない。あるいはこうしてプレーヤーたちの注目を集めた上で、手数料の妥当性に関する議論に参加してほしいというのが、彼らの本音だろうか。

 結末は見えていないが、今回の手法では日本の人口の3倍以上となる3億5000万人を超えるFortniteファンを味方につけるのは難しいのではないか。

 すでに注目は集めたのだから、Epic Gamesは次のステップへと踏み出すだろう。舞台は法廷へと進む可能性が高そうだが、オープンな場での議論へとAppleとGoogleを引っ張り出して証言を引き出せれば、そこには業界共通の利益となる道筋が見えてくるかもしれない。

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.