2020年8月15日、神戸新聞にこんな記事が掲載された。
「コロナ患者4人分の個人情報流出 西宮市保健所がファクス誤送信」
記事によれば、兵庫県西宮市の保健所が、「新型コロナウイルスに感染した患者計4人分の個人情報を記した書類」を誤って市内の個人宅にファクスしてしまったという。新型コロナ感染者のプライバシーが他人に漏れたことで、地元紙が取り上げたのである。
このニュースはSNSでも話題になった。だが問題は情報が漏れたことよりも、「いつまでFAXなんか使ってるんだよ…」「個人情報をFAXでやり取りし、それを誤送するという、まぁこれがIT社会と言われている日本の現状なのだな、とガッカリ」などといまだにファクスが使われていることに批判が集まった。
それもそのはず。電子メールが広く普及しているため、筆者も最近では書類をPDFで送受信することがほとんどである。ただその一方で、知り合いの中小企業の事務所などに行くと、今もファクスで注文のやりとりをしているのを目にする。この神戸新聞のニュースのように、多くの行政機関でもいまだにファクスが使われている。
だが実は、世界に目を向けても、まだ「ファクスは過去のもの」とは言えない現実がある。それどころか、バリバリ現役で使われているとすら言っていいかもしれない。そこで、多くが「時代遅れ」「古臭い」と認識しているファクスの「今」を追ってみたい。
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