非連続的価値創造の時代に勝ち抜く原動力は、速さと軽さだ。軽さとは低コストで開発できるか、導入できるかを意味する。どういうプロダクトが勝つかがすでに分かっていて、みなが完成度を上げていくというフェーズであれば、速さは決定的要因ではない。「軽さ」は重要ではない。大規模な調達や高度な技術のすり合わせで勝負は決まる。
ただし5GやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)など、革新的な技術であってもまだ使い方は分からないものを暗中模索でプロダクトアウトしていくフェーズでは、弾をたくさん撃って、失敗を繰り返しながら当たりを探ることが重要となる。
この速さを実装するのには何が必要なのか。それは分散型開発だ。日本やドイツの強みは大企業、巨大組織が統一的なコンセプトのもとに動く集中型開発にあった。しかし、非連続的価値創造の時代においては分散型開発が必要となる。
分散型開発とはなにか。インターネット思考、オープンイノベーションと言い換えてもいい。すなわち、「他人が書いたコードはもう一度書き直さない」「車輪の再発明はしない」に集約できる。プログラムとモノの最大の違いは、プログラムは費用なしでコピーができ、改変ができる点にある。他人が書いたコードを流用することができるわけだ。
もちろんそれが知的所有権の侵害にあたるケースもあるが、近年の多くのソフトウェアプロジェクトはオープンソース、すなわちプログラムの成果物を人類共有の財産とし、他者の利用を許しながら共同で改善を進めていく方向に向かった。一から全てを作る費用がかからないので、新たに参入する企業も差別化が必要なコードの実装に集中できる。多くの人がオープンソースに貢献していくことで公有のソフトウェア資産が拡大し、スピーディーなトライアル&エラーがしやすくなったというわけだ。
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