グルメサイトは飲食店の味方なのか?「Go To Eat」でも悩み(3/3 ページ)

» 2020年09月01日 07時00分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!
前のページへ 1|2|3       

 こういった新しい潮流もあり、そして馬鹿にならない料金なのにグルメサイトがコロナ禍で苦しむ飲食店の助けになっていない現実もあり、冒頭で言ったようにグルメサイトへの減額要請や解約申し込みが相次いでいるのだ。

 当然ながら、それに抵抗する動きも出ている。飲食店の苦境を救うための官民一体型の需要喚起キャンペーン「Go To Eat」が9月から立ち上がることが発表されたが、その策の一つ「オンライン飲食予約(によるポイント付与)」はグルメサイトの利用が条件になっている。

 これは、グルメサイト経由でキャンペーン参加の飲食店を予約し来店した消費者に対し、飲食店で使えるポイントを付与するものだ。

 ランチだと500円分/人、ディナーだと1000円分/人のポイントが予約した人数に応じて予約者に付与される(最大で10人分の1万ポイントが上限)。付与されたポイントは後日、キャンペーンに参加している飲食店を利用する際に使える。ポイント付与の期限は2021年1月末まで(使用期限は2021年3月末まで)とされているものの、消費者にとってはなかなか魅力的だ。

 この「オンライン飲食予約」キャンペーンに飲食店が参加するには、3つの条件が必須だ。一つは、感染予防対策をしないといけないこと(これはある意味、当然だ)。もう一つは、事前登録しないといけないこと(これも当然だ)。最後の一つが問題で、対象となる「オンライン飲食予約事業者」(グルメサイトのこと)と契約していないといけないことだ。

 今までグルメサイトと契約していない店や、コロナ騒ぎを契機に契約解除した店は改めてどこかのグルメサイトと契約する(したがって広告掲載や送客手数料を払う)必要があるのだ。このキャンペーンが「飲食店の救済ではなく、グルメサイトの救済が本当の目的だ」と揶揄(やゆ)される所以だ。

 ちなみにもう一つの「(プレミアム付)食事券」キャンペーン(購入額の25%分を上乗せする)のほうは、オンライン予約は不要なので、参加するにあたってグルメサイトとの契約は必要ない。いずれにせよ、新型コロナウイルスによる苦境をなんとか凌ごうと頑張っている飲食店にとって、希望の綱に見えた「Go To Eat」キャンペーンは新たな悩みをもたらしそうだ。 (日沖 博道)

→フォローして日沖博道氏の新着記事を受け取る

前のページへ 1|2|3       

Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.