コロナ禍でアパレル業界が不振に陥り、店舗を持つ小売業が苦戦しています。その一方、業績を拡大させている企業があります。それが西松屋チェーン(以下、西松屋)です。西松屋はしかも、縮小が続く子ども服の販売を商売の軸にしています。
「アパレル」「子ども服」「小売業」という一般的には三重苦の商売でありながら、2021年2月期には単独税引き後利益が前期比5倍になりそうだという業績発表を行いました。
いつもガラガラ。人のいる気配がない。しかし店舗数はすでに1000を超え、さらに出店増加中。西松屋だけがなぜ伸びるのか。一般的な常識を打破する西松屋の経営手法に、コロナ禍でも伸びる小売・サービス業界の成長因子を見つけました。
流通小売・サービス業のコンサルティングを約30年続けてきているムガマエ株式会社代表の経営コンサルタント、岩崎剛幸がマーケティングの視点から分析していきます。
西松屋が2020年8月に発表した数字は驚きでした。各社がコロナ禍で今期の年間数値予測を見送る中、同社は21年度の数値予測を上方修正したのです。売上高予想が前期比9%増の1560億円、経常利益は同3.7倍の88億円、単独税引き後利益は同5.2倍の56億円。6月に発表した業績予想をさらに上回るという予測です。これはコロナ禍でも同社が消費者に支持され、ここ数カ月も売り上げを伸ばしてきた証です。
緊急事態宣言の影響もあり、一時は40店舗程度を休業するなど、業績を落とした月はありました。しかし、客数、客単価共に伸ばし、全店売上高は今期の累計でも113.6%と2桁の伸びです。
実は、9年前の11年ごろにも同社は「16期連続増収企業」として注目されていました。この年には東日本大震災があって、日本全国が不況に陥りました。
同社は世の中が景気後退局面に入り、デフレ傾向が強まると非常に強さを発揮する、まさにリセッションブランドなのです。
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