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» 2020年08月24日 05時00分 公開

店内は客が少ないのに25年連続増収 西松屋がコロナ禍でも絶好調の理由「アパレル」「子ども服」「小売業」は三重苦か(5/7 ページ)

[岩崎剛幸,ITmedia]

(3): 全ては「低価格で魅力的な商品開発のために」

 同社のこうした努力は何のためにしているのか。それは、魅力的な商品開発のためと断言してもいいでしょう。

 以前、ある雑誌のインタビューで大村氏はこう発言していました。

 「毎日の子育てが楽しくなるような、『豊かなくらし』を実現したい。そのために私たちは、お客さまに満足していただける品質の商品をどこよりも低価格で、最も便利に提供していきたいと常に考えています」

 同社が徹底的に店舗にかかるムダを省き、ロスをなくし、余分な経費を削っているのは、その分をより魅力的な商品開発につなげていきたいと考えているからです。

 同社がターゲットとしている「子育て世帯」。彼らにとって一番の課題は何かを突き詰めた結果、子育て世帯の可処分所得が下がり続けていることに行き着いたのではないかと私は推測しています。これが西松屋の戦略の本質です。

 ですから同社では「399円の半袖Tシャツ」「1万円以下のベビーカー開発」といった、いわゆるキュッキューのオリジナル商品(末尾が99円の低価格商品)をメーカーと共同で開発し、一定以上の粗利を確保して、低価格を実現させる商品開発に力を入れています。POSで売れ筋を徹底管理する新商品管理システム、取引先と作ってきた物流システム、そして他社を圧倒するこの商品開発力が同社を躍進させてきました。

 西松屋の商品開発にかける努力はすさまじいものがあります。私のコンサルティング先が委託を受けて西松屋のある商品を作っています。西松屋の開発担当者(家電メーカー出身)は、品質に関して疑問を抱いたり、原価低減に向けて取り組む余地があると考えたりすると、海外の生産工場にまで一緒に出向き、その生産ラインを徹底的に研究し、ムダを省く提案をします。そして、西松屋の取る粗利を確保しつつ、最終的には業界最安値の商品価格を設定してしまうのです。

 結果的に2000年には29.1%だった粗利率を、20年度には34.8%にまで高めたのです。

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