いまさら聞けないTOB Q&A(1/3 ページ)

» 2020年10月05日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 NTTがNTTドコモに対して行うTOB(株式公開買い付け)が話題だ。このところ、親会社と子会社の双方が上場する、いわゆる親子上場を解消するための例が増えている。5月にはソニーが金融子会社のソニーフィナンシャルホールディングスへのTOBを実施。伊藤忠商事は、18年から20年8月にかけてユニー・ファミリーマートホールディングスに2度のTOBを実施して完全子会社した。

 親子上場解消以外にも、コロワイドが大戸屋ホールディングスに対して行った敵対的TOBも話題を呼んだ。ヤフーがZOZO買収に対して行ったTOBも注目された。

 こうした買収の際にしばしば登場するTOBという言葉。これはいったいどのようなものなのか。なぜTOBがかかると株価が上昇するのか。TOBが成功するための決め手はどのあたりにあるのか。改めてQ&A形式でまとめた。

(写真提供:ゲッティイメージズ)

そもそもTOBとは?

 TOBとはTake Over Bidの略で、日本語では株式公開買い付け。市場で株式を売買するのに対して、価格や買取株数、期限を事前に明示して、不特定多数の株主から株を買い集めることをいう。

 「TOBでは、一般に企業を買収するときや、グループ企業を完全子会社化するときに、不特定多数の株主から株を買い集め、対象企業の経営権を取得することを目指す」(三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジスト)

なぜTOBをするのか?

 買収先の企業の株式を買い付ければ、経営権が取得できる。なぜ市場で買い付けるのではなくTOBを行うのか。市場で都度株式を買い進めると、意図を察知したほかの投資家によって、株価が一気に上る可能性がある。その結果、TOBをするよりも高い価格で買うことになるおそれがある。

 「TOBでは、買付価格と株数、期間が事前に公表される。買収する企業にとっては、大量の株式を効率的に買い付けられる」(市川氏)

 また金融商品取引法で、TOBが義務付けられている場合もある。「取得のあと、所有割合が3分の1を超える場合、取得はTOBによることが金商法27条で義務付けられている。さらに、3分の2を目指す場合、応募のあった株式をすべて買い付けることが義務付けられている」(市川氏)

 今回のNTTによるNTTドコモ株の買い付けでは、NTTはそもそもドコモ株の60%超を保有しており、TOBで取得する必要がある。

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