コロナ禍でもほぼ前年同等の売り上げをキープしているかつや業態。その強さを探るべく筆者も改めて店舗を訪れてみました。
私が訪れたのは、東京都町田市の郊外にあるお店。かつやは全店舗の約90%が郊外にあります。このため、繁華街やビジネス街に展開する飲食企業と違い、コロナ禍の影響を最小限にとどめることができました。
さらに、同店の駐車場にはテークアウトなどを訴求する「のぼり」が多数立っており、配達用のバイクも準備されていました。
実際、コロナ禍の中でかつやはテークアウトにかなり力を入れてきました。テレビCMや新聞広告、折り込みチラシなどを活用して認知度アップを図ると同時に、デリバリー実施店舗を176店舗にまで拡大。20年1月には33.9%程度であったテークアウト比率を5月には59.5%にまで引き上げることに成功しています。こうしたテークアウト強化戦略により、5月には客数が対前年比78.2%だった一方で、客単価は124.9%となり、売り上げは97.7%を実現しています。
私がお店を訪れたのは午後2時でしたので、ランチのピークタイムを過ぎていましたが、店内は満席の状態で、ウェイティングのお客さまも10人程度いました。
私も店内で順番を待っていましたが、その間にもテークアウトやデリバリーのオーダーが次々に入ってきていました。このように、店内が満席でも売り上げをつくることができるのが、テークアウト&デリバリー店舗の強みです。
店内だけでなくテークアウト&デリバリーという複数のオーダーをこなしていくためには、高い調理オペレーション力が必要となります。しかし、同社ではほぼアルバイトスタッフのみで調理を行っています。このオペレーションを実現しているのがかつや特注のオートフライヤーです。このオートフライヤーは改良を積み重ね、当初は4分近くかかっていた揚げ時間を、現在では2分台にまで短縮することに成功しているそうです(出所:東洋経済オンライン「快進撃『かつや』、安くて早いカツ丼の舞台裏」)。この特注オートフライヤーにより、本来は高い技術が必要なとんかつを揚げる工程の「職人レス」に成功しました。
では、店内のメニューを見てみましょう。まず感じるのは、その「安さ」です。一般的なとんかつ専門店の価格帯は1200〜1500円程度なのに対して、かつやの最下限価格は「カツ丼(梅)」(税別490円)です。そして、メインカテゴリーとなるとんかつ定食も650円〜790円の価格帯におさめています。同社の実施したアンケート調査では、実際に同店を利用しているお客さまの79%がかつやのメニューに対して「安い」と答えています。
高いオペレーション能力と安さ、商品力を武器に467店舗を展開するかつやですが、成長の余地はあるのでしょうか?
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