会社の数字〜注目企業を徹底分析〜
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» 2020年03月31日 05時00分 公開

飲食店を科学する:スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは (1/6)

大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。

[三ツ井創太郎,ITmedia]

飲食店を科学する:

 【飲食店コンサルタントが解説】立地、メニュー数、原価率、回転率、利益率―飲食店の経営には、数字やロジックを積み上げて戦略を練る作業が欠かせない。人気になっているチェーン店や、すっかり定着しているが業態の裏側にあるノウハウを分析していく。


 皆さまこんにちは。飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表の三ツ井創太郎です。本連載では、皆さまが日頃なんとなく利用したり、見たりしている飲食店のビジネスモデルやマーケティング戦略を、分かりやすく解説していきます。よろしくお願い致します。

 今回は皆さんも家族等で利用することが多い回転寿司業界。その中でも売り上げ1位のスシローと2位のくら寿司の戦略を、データと現場目線の両方から分析していきたいと思います。

大手2強の歩む道は何が違うのか

スシローとくら寿司の業績は?

 「お店にはよく行くけど、会社のことはあまり知らない!」という方のために、まず両社の概要や業績を見ていきます。スシローを展開する株式会社スシローグローバルホールディングスの売上高は1990億円(2019年9月期決算)。1984年にオープンした1号店「すし太郎」(大阪府豊中市)からスタートし、現在では国内541店舗、海外25店舗の合計566店舗を展開しています。

 一方でくら寿司を展開する、くら寿司株式会社の売上高は1361億円(19年10月期決算)。1977年に大阪府堺市で一般的な寿司店として開業し、現在は国内442店舗、海外43店舗の合計485店舗を展開しています。

くら寿司はロゴを刷新した

 では、両社の決算データを見比べてみましょう。

 スシロー1店舗当たりの売上高は約2900万円(月平均、以下同)、営業利益は約210万円となります。一方でくら寿司1店舗当たりの売上高は約2300万円、営業利益は約90万円です。スシローの方がくら寿司よりも1店舗当たりの売上高、利益額が高いことが分かります(スシローの売り上げには都心等の小型店業態も含みます)。

 では次に気になる両社の原価率を見ていきましょう。決算書で確認すると、スシローの原価率は48.1%、つまり1皿100円の寿司であれば原価が約48円ということです(あくまで全社平均値)。一方でくら寿司の原価率は45.3%となっており、スシローの方がくら寿司より原価率が2.8%高くなっています。たかが2.8%と思われる方もいるかもしれませんが、年商1990億円のスシローにとって、2.8%は55億円にもなります。

 原価率の違いが分かった所で、次は両社のメニューを比較分析していきます。

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