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» 2021年01月04日 17時35分 公開

ワークマン土屋哲雄専務に聞く 「4000億円の空白市場」をいかにして切り開いたのかワークマン式「しない経営」【前編】(1/4 ページ)

ソフトバンクグループの孫正義氏に「4000億円のホワイトマーケットをよく見つけた」と言わせた企業がある。作業服の業界で40年間トップを走るワークマンだ。2020年5月以降は常に二桁の成長を実現。11月の既存店売上高は38カ月連続で増えている。同社の土屋哲雄専務取締役にインタビューを敢行。いかにして4000億円という市場を発見するに至ったのかを聞いた。

[鳥井大吾,ITmedia]

 2021年の幕が開けた。新年にふさわしい企業を取り上げたい。

 ソフトバンクグループの孫正義氏に「4000億円のホワイトマーケットをよく見つけた」と、ユニクロの柳井正氏に「新しい市場を作った」と言わせた企業がある。作業服の業界で40年間トップを走るワークマンだ。「過酷ファッションショー」など独自の取り組みのほか、10年連続で増収、最高益を更新し、コロナ禍の中でも勢いを増している。

 2020年は緊急事態宣言が出された4月でさえ既存店売上高は前年を上回り、5月以降は常に二桁の成長(最大は6月の37.2%)を実現。11月の既存店売上高は38カ月連続で増えている。

 ITmedia ビジネスオンラインは、同社の土屋哲雄専務取締役にインタビューを敢行。いかにして4000億円という市場を発見するに至ったのかを聞いた。

phot 土屋哲雄(つちや・てつお)ワークマン専務取締役。東京大学経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役を経てワークマンに入社。常務取締役経営企画・情報システム・ロジスティックス担当としてアウトドアウェア新業態店「WORKMAN Plus」を企画。2019年6月、専務取締役経営企画部・開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当(現任)に就任。20年10月に初の著書『ワークマン式「しない経営」――4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』(ダイヤモンド社)を上梓

孫正義「空白市場をよく見つけた」

――三井物産で30年以上勤務した土屋専務は還暦直前に、(創業者で叔父の)土屋嘉雄会長に声を掛けられる形でワークマンに入社しました。当初は会長から開口一番「この会社では何もしなくていい」と言われたそうですが、入社後は何を考えてどんな取り組みをしたのですか?

 土屋会長から声がかかったのは2012年でした。当時のワークマンは30年以上、2位の会社に大差をつけ作業服のシェア1位に君臨していました。私はそれまで三井物産で多様なビジネスを経験していましたから、そこで培った経験を生かそうと思い、まずは社員のヒアリングを通じてワークマンの強みを見つけだそうと思いました。

  そこで掲げた方針が「法人契約は狙わない」「粗利益が高い製品を扱わない」「一番儲(もう)かる製品はチラシに載せない」「値引きをしない」といった「しない経営」です。

 一方でワークマンの成長の限界も見えていました。入社当初のペースで加盟店が増えたとしても2025年には1000店舗になります。そうすると売り上げは1000億円が限界です。

 企業文化にも閉塞感がありました。何十年も同じことをしてきたせいか、社員たちは危機感を覚えながらも変わらずにいました。そこで、新たな市場を開拓しようと考えました。

――のちにソフトバンクグループの孫正義氏が「4000億円のホワイトマーケットをよく見つけた」と言っていたそうですが、いかにしてその市場を見つけたのですか?

 まず自分たちがビジネスをする市場から近い市場を狙いました。それがアウトドアの市場です。ただその市場にはすでに強い競合がいたし、ワークマンにはそもそもアウトドアのイメージがありませんでした。

 一方で当社の製品をよく分析すると、もともと作業着用に作られているため機能面ではアウトドア向けの製品に見劣りしないし、何よりも低価格が実現できていました。そこがワークマンの強みだと分かったのです。

 アパレル市場を「価格」と「デザイン/機能」の軸でマトリクス分析すると、「低価格」×「機能性」という空白の市場を見つけました。それが4000億円というホワイトマーケットです。ワークマンはこの市場にフィットすることができたと考えています。

phot ワークマンと売上・経常利益・店舗数の推移(『ワークマン式「しない経営」――4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』より)
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