ノーベル賞のオークション理論 ビジネスに取り入れることは可能か適切なマッチング(1/3 ページ)

» 2021年01月27日 06時00分 公開
[猪口真INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 米スタンフォード大学のポール・ミルグロム教授とロバート・ウィルソン名誉教授が、「オークション理論」でノーベル経済学賞を受賞した。

 オークションとは、ヤフオクやモバオクでなじみのある言葉で、かなりの人が参加したことのあるものだけに、このテーマでノーベル賞なのかと驚いた。

 確かに、オークションであれば、欲しいと思う人が一番高い値をつけてくれるまで交渉が進むので、売り手としても納得感が高い。買い手にしても、いくらまで出すかは自分で決めることなので、誰の責任にもできないので、納得感もある。

 オークションにもいろいろあり、例えば、2番目の入札額支払う方式(通常の入札と同様に、最も高い金額を示した人が落札するが、落札者が支払う額は自身の入札額ではなく、競争相手が書いた2番目に高い入札額になる)などは、買うほうも売るほうも、納得できる価格決定メカニズムと言われている。

 昔、学生時代に、需要と供給のバランスにおいて価格が決まる的なことを教えてもらった気はするが、そのバランスが崩れているのを、希少商品において、極端に是正するのがオークションということか!

 確かに、公開した場で価格を調整することで、もっと高い価格で売れたにもかかわらず、売り切れとなってしまい、ビジネスの機会を失ってしまったという話はたくさんあるだろう。要するに、「もっと高い値段で売れたのに!」と後悔するわけだ。

 多くのユーザーがいるなかで、唯一のサービスしかない場合は特にオークション向きだと言えるだろう。例えば、大量生産できないコンサートや舞台、ショーなどのチケットは、まさにそうだ。1席1万円を1000席売っても1000万円だが、10万円で200人買えば、それだけで2000万円だ。どうしても行きたい人であれば、10万円なら問題なく出すだろうし、こうした人に参加してもらいたいと売り手側も思うだろう。販売開始から1分で販売終了という現状には、そこに参加することすらままならない人も多い。当然、ダフ屋が存在するスペースもなくなる。

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