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ワークマン土屋哲雄専務が、社員の平均年収を700万円に上げた理由ワークマン式「しない経営」【後編】(1/5 ページ)

» 2021年01月06日 05時00分 公開
[鳥井大吾ITmedia]
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 「残業しない」「ノルマを設けない」「値引きをしない」「社内行事をしない」――。他社とは真逆の取り組みともいえる「しない経営」を実践し、10年連続で増収、最高益を更新したワークマン。記事の前編では4000億円という空白市場をいかにして発見したのかを同社の土屋哲雄専務に聞いた(ワークマン土屋哲雄専務に聞く 「4000億円の空白市場」をいかにして切り開いたのか参照)。

 後編では、土屋専務が社員の平均年収を、定期昇給分を除いて100万円以上アップさせた理由を聞く。一見すると社員の給与を上げる取り組みや先述した「しない経営」は、会社の経営を上向かせるものではないようにも思える。 

 だが土屋専務は独自の方法を貫き、会社の業績を向上させ続けてきた。その秘密は、専務が提唱し実践してきた、Excel(エクセル)によって現場の数値やデータを分析して全社員が平等に議論できるように促す「エクセル経営」にある。取り組みの本質や社員の自発性を引き出すマネジメント方法を掘り下げた。

 ワークマンでは店舗の95%をフランチャイズチェーン(FC)によって運営している。帝国データバンクによれば、アパレル業界でのコロナ関連倒産は105件(2021年1月5日時点)と、飲食業界(133件)に次ぐ多さだ。コロナ禍という逆境にもかかわらず、勝ち続ける同社の経営手法に迫る。

phot 土屋哲雄(つちや・てつお)ワークマン専務取締役。東京大学経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役を経てワークマンに入社。常務取締役経営企画・情報システム・ロジスティックス担当としてアウトドアウェア新業態店「WORKMAN Plus」を企画。2019年6月、専務取締役経営企画部・開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当(現任)に就任。20年10月に初の著書『ワークマン式「しない経営」――4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』(ダイヤモンド社)を上梓

ルールを書き換えるのが社員の役割

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