「女性だけの会議は長い。みんな意見を言うばかりで何一つまとまらない」――。
これは、世界中から批判を浴び、辞任することになった“あの人”の言葉ではありません。
私がこれまで700人以上のビジネスパーソンにインタビューする中で、度々耳にした言葉です。
森喜朗氏の発言は時代錯誤も甚だしい上に、ご自分の立場をまったく「わきまえて」いません。と同時に、それに同調するような笑いが起きるだけで、誰もその場で異議を唱える人がいなかったことは、日本の後進国ぶりを世界に知らしめたことに他なりません。
つまり、森氏という“木”ばかりを見て、日本という本当の“森”を見ていないのです。
森氏の発言は言語道断です。しかし、日本全体を見渡せば、「女性はめんどうくさい」という価値観が残っている。それが「東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長」というポジションにある森氏の言葉により、世界に発信されただけ。「女性軽視」は入口にすぎず、問題の根っこはもっと深いところにある。
実に残念なことですが、いまだに日本には「タテ社会」で動いている組織が山ほどあります。
いまだに日本人は「あうんの呼吸」を大切にします。出世のために“クラブ活動”や“ゴルフ外交”、“麻雀外交”に精を出す人は相も変わらずご健在です。そして、そういう部下をかわいがり、休日の私的な集まりに呼びよせ「俺の右腕だ」と自慢する人も一向に後を絶ちません。
タテ社会の組織で求められるのは、「タテシステム」への適応です。
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