ビジネスにおいて言語の違いがもたらす影響は大きい。言語という壁が存在すると人材獲得に制限が発生するため、適材適所が進みにくくなる。日本に進出している英語圏の企業にしてみれば、仕事はいまひとつだが英語が堪能な人材と、仕事はできるが英語がまったくしゃべれない人材を比較した場合、前者を採用するのは当然のことである。逆も成立し、外国に進出した日本企業は、日本語が得意な現地社員を優先して採用する傾向がある。
グローバル企業では英語を公用語として設定し、場所が日本であってもドイツであっても英語でミーティングを行うところが多い。全員、日本人であれば日本語でもよいが、1人でも日本語が分からない人がいる場合には即座に英語になるパターンである。
こうしたやり方の場合、英語力は全員必修にする必要があるが、自動翻訳が普及すれば、従来の概念が不要になるかもしれない。これまでは、対面でのコミュニケーションが重視されていたので、自動翻訳はあまり意味がないとの意見もあった。だが、コロナ危機がこうした状況を変えつつある。
感染リスク対策から移動が制限され、Zoomなどのツールを使って会議をすることが当たり前となった。移動するコストや手間を考えると、多少の不便さはあってもITを使ったコミュニケーションのほうがコストパフォーマンスで勝っているのは明らかである。仮にコロナが完全終息すれば、重要な交渉は対面に戻るだろうが、それほど重要ではないやり取りは、ITツールを介して行うのが標準になるだろう。そうなると自動翻訳が意味を持ってくる。
英語が苦手だった人にとっては、まさに朗報ともいえるが、実はそう簡単な問題ではないと筆者は考えている。その理由は、言語の壁と文化の壁はセットであり、言語がフリーになっても、依然として外国人とやり取りができない人が多数、存在する可能性が高いからである。
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