AI(人工知能)翻訳などを手がけるロゼッタ(東京都千代田区)が、自動翻訳ツールを利用することで、社内での英語利用を禁止したことが話題となっている。近年、自動翻訳の技術は急速に向上しており、簡単なビジネスのやり取りであればグーグルが提供するGmailの翻訳機能で十分、実用になる。
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、過剰な移動の見直しが進むなか、近い将来には、言語の壁も消滅している可能性がある。だが、言語の壁が取り払われることは、本当の実力が問われることを意味しており、全員にとってよい時代なのかは何とも言えない。
ロゼッタのグループ会社であるMATRIXは2021年3月3日、日本語しか話せなくても外国語で相手と会話できるコミュニケーションツール「友コネクト(YouConnect)」のサービスを開始すると発表した。サービスリリースは5月ごろを予定しているという。このツールは、日本語、英語、中国語に対応しており、日本語で話しかけると相手には外国語で伝わる。それぞれの話者には、相手の言葉が自分が話している言語で字幕表示されるので、外国語を話していることを意識せずに済む。
外国語に翻訳してくれるツールといえば、DeepL GmbHが開発したDeepL翻訳などたくさん登場しており、精度も年々向上している。スマホに入っているグーグルの自動翻訳アプリを、ビジネスシーンで使ったことがある人も多いのではないだろうか。
実際、筆者もグーグルの翻訳アプリを海外で使ったことがある。コロナ危機直前のことだが、英語圏ではないアジアの国に行き、下手な英語で仕事上のやり取りをしていたが、話が込み入ってくると理解度が下がってくる。このときグーグルの翻訳アプリを使って、相手が何を言っているのかを理解した経験がある。
テキストベースであれば、さらに実用化が進んでいる。グーグルが提供しているGmailの翻訳機能は、すでに多くの人が日常的に使っているはずだ。完璧な日本語にはならないが、とりあえず相手からメールが送られてきたときに、一旦、翻訳をかけて日本語表示すれば、詳細はともかく概要については把握できる。その後、文章をしっかり読み込んで、対応を考えるという使い方である。
上記の作業は、外国語に堪能な人であれば必要のないことかもしれないが、筆者のように語学が上手ではない人間にとって、支援ツールはなくてはならないものとなっている。
MATRIXは自動翻訳の会社なので、思い切って英語禁止という措置に踏み切ったものと考えられるが、そう遠くない時期に、翻訳ツールを使うことで、何も意識せずに海外の人とコミュニケーションができるようになるだろう。
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