超小型衛星4機を打ち上げ アクセルスペース中村友哉CEOが語る「民間宇宙ビジネスの未来」地球観測サービス「AxelGlobe」の勝算【後編】(3/4 ページ)

» 2021年03月18日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

政府やJAXAとの連携とNASAへの協力

 シンポジウムのもうひとつのテーマである政府やJAXAなどの連携では、まず経産省の伊奈氏が「衛星コンステレーションでできることを、まだ担当省庁も知らない状況がある」として、地道に複数の省庁に足を運んで衛星画像活用の「営業活動」をしていることを明かした。

 一方のJAXAは、これまでもさまざまな民間企業との共創に取り組んでいる。岩本氏は、4月からは民間に直接出資できるように法律を整備していることを説明した。

 「JAXAとしてはスタートアップに出資することによって、民間からの投資も動かして、宇宙ビジネスのイノベーションを起こすことができればと考えています。あわせて、民間から調達できるものは民間から調達する考え方もだんだん浸透してきました。

 衛星、ロケットの打ち上げ、さらには探査まで、民間企業でできることは年々増えています。これまでは宇宙開発の技術はJAXAが開発するイメージがありましたが、これからは民間のプレイヤーがつくったものを調達させていただく形で取り組めればと思っています」

 またNASAのマッキントッシュ氏は、アクセルスペースの「AxelGlobe」事業とNASAが連携する可能性について、次のように述べた。

 「NASAは米国の政府機関であるため、日本の民間宇宙企業と直接取引することは難しいと思います。しかしながら、アクセルスペースとの将来的な協力については現在話をしています。

 NASAは大量のデータを保有する地球観測衛星を持っています。しかし、すべての領域をカバーできません。アクセルスペースの協力によって、NASAのデータの欠落している部分を補足できる可能性が考えられています。もっと議論は必要ですが、アクセルスペースがNASAに協力する絶好のチャンスかもしれません」

 この発言に対して中村氏は「何らかの形で米国の企業に協力することになれば、ぜひデータを提供したい」と、間接的にでもNASAに協力することに前向きな姿勢を見せた。

「AxelGlobe」が撮影した衛星画像

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