一方で、オフィスを巡っては今、面積縮小が盛んに検討されている。企業としては、働く場の選択肢を最大限まで多様化しようとしている流れを受けたものだ。特に、感染防止という観点から「分散」は一つのキーワードとなっている。それが在宅勤務であり、サードプレース、ワーケーションであり、オフィスから外へと働く場は流出し始めている。
冒頭に記したように、コロナ禍はまだ完全に収束することはないだろうが、ワクチン接種により、ある程度落ち着いてきたときに、多くの人が「やっぱりオフィスで働きたい」という選択に戻るとしたらどうなるのだろうかと危惧している。在宅勤務では生産性が低下する、というアンケート結果もあるように、現在は無理して分散という選択をしている社員が、オフィス回帰を選択したときに、オフィスの面積を縮小していると、入り切れるかどうかという問題がある。従って、単にオフィスを削減するだけでは不十分だ。
生産性の高まる場を各自が自律的に選択するように、企業側としてはメッセージを発信しているのに、オフィスで働きたいという場合は人数制限をする、ということになると、そのメッセージの意味がなくなってしまう。そこで調整弁としてサードブレイス、レンタルオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペースの活用が重要となるのは間違いない。
オフィスだけではない、超広義のABWこそが、今後のワークスペースを巡る展開としては、やはり大きなポイントとなりそうである。
株式会社月刊総務 代表取締役社長 『月刊総務』編集長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、『月刊総務』の編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)、『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)
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